そもそも星座って何?

宇宙・航空科学

みなさんは、星座というと、点と点をつないだ星の並びからイメージされた絵のようなものだと思っていませんか?

実は、星座は、空での位置を表すために仕切った空間を意味します。

それは、日本を線で区切った境界線、地図でいう県境のようなもので、実際にはその間の空間、それぞれの県の領域(面積全部)をさす空の地図なのです。

たとえば、しし座とかに座は、境界線で区切られており、その中の星ならどれを繋いでも全てしし座(または、かに座)になります。

つまり、星座の絵には、正式な決まりはないというわけです。

国によってつなぐ星が違ったり、星座版によって星座の絵が微妙に違うことがあるのはそのためだったのですね。

では、そもそも星座とは何なのでしょうか?

現在、IAU(国際天文学連合)によって決められた星座は88個

そのうち、太陽の通り道をつないだ線「黄道」上を、12等分してつくられた星座を「黄道12星座」と呼びます。

この黄道12星座は、占いに使われているだけではありません。

太陽が一年かけて(12カ月周期)その線上を一周することから、天文学においては重要な役割を果たしているのです。

地球がどのように宇宙を移動するのかを理解する大きな手がかりにもなっています。

以下、星座とは何かについて、星座の実用性とともに紹介します。

5000年も前から星座は実用的だった

星座とは

何千年にもわたって、人々は、この巨大な天空で、点と点を繋ぐ壮大なゲームを行っています。

天体の配置図は、星座として語り継がれ、ときには神々を表し、季節の移り変わりや時間の経過を告げることから、植え付けや収穫の時期を知る手がかりにしてきました。

天文学における星座の役割に飛び込む前に、まずは、星占いについていくつかのことを明らかにしておきましょう。

古代の人々が特定の星座に大きな価値を置いていたことは、誰もが知るところですね。

星の動きと地球上で起きていることとの関係を見つけることで、彼らの世界を予測し理解するのに役立ったのでしょう。

たとえば、バビロニア人にとって、夜空に浮かぶ雄羊の形は、春の訪れを意味していました。

でも星占いなんて、非科学的だと感じている人も少なくはないかもしれません。

実は、古代の星空観察者にとって、星座が他の星よりも大切だった理由は、今日の基礎天文学への理解に通じるものがあります。

その仕組みはこうです。

天文学で最も重要な座標系「黄道(太陽の通り道)」

もし、あなたが日中もすべての星を見ることができたとします。

すると、1年の間に、ある星座から次の星座へとゆっくりと移動する太陽を見ることができるはずです。その想像上の道が、先ほど述べた「黄道」と呼ばれるものです。

黄道とは

黄道は、天文学で最も重要な座標系のひとつです。

黄道線は、太陽の周りを回る地球の軌道面を表しているため、とても便利なのです。

太陽系の主要な天体もまた、すべて地球と同じように太陽の周りを回っているので、太陽系における私たちの位置もわかります。

黄道上を移動する太陽系惑星

太陽系の主要な天体はすべて、同じ黄道面上、またはその近辺を公転しています。黄道線から数度ずれているものもありますが、基本的にはすべて同じです。

星座と惑星の関係

星座が歴史的に有名になったもう一つの理由は、私たちがいつもその近くで月や惑星や日食を見るからです。

NASAのK2ミッションでは、黄道12星座が太陽系外惑星を探すのに便利であることがわかりました。

NASAのK2ミッションに参加した科学者Jossie Dotsonさんは次のようにいいます。

NASAの探査衛星「ケプラー」はもともと黄道上を探査するようには設計されていませんでしたが、黄道上も探査することになったのです。

ケプラーの目的は、他の惑星の周りにある星を見つけることでした。

そのため、当初は他の星がどの程度存在するか分からないので、白鳥座の近くにケプラーを向けましたが、ミッション開始から約4年後、探査機の2つの車輪が故障し、はくちょう座付近を観測するのに十分な安定性を保てなくなったため、工夫して太陽を使って望遠鏡を今までと同じ場所に向けようとしたのです。

ケプラー宇宙望遠鏡は左右対称の太陽電池パネルを持っていたため、太陽電池の圧力で望遠鏡の向きを一定に保つことができ、それを太陽がわずかに押すことで、結果的にK2が黄道線を向くことになったのです。

それでも、数日おきに空のさまざまな場所を観察して、400個以上の惑星を発見することができました。

実のところ、はくちょう座の方角に約300光年先にある恒星の近くで、地球の直径に似た惑星「Kepler-1649c」も見つかっています。

この惑星の表面温度は、おそらく地球と似ており、水が液体で存在するハビタブルゾーンの軌道を持つ可能性がありますが、実際には公転している恒星で引き起こされているであろう爆発現象によって生命体の存在は考えにくいようです。

しかし、この発見によって銀河系には、第二の地球になりそうな惑星があるかもしれないことへの期待が高まりました。

天文学者は、太陽系や銀河系の外惑星について学ぶために黄道線を使い続けていますが、私たちがいる場所から見ることができるものもたくさんあるのです。

住んでいる場所にもよりますが、毎晩少なくとも1つは星座を見ることができるはずです。

惑星は常に黄道に沿って動くので、一度どこを見ればいいのかがわかれば、きっと次からは見つけやすくなるはずです。

黄道12星座は実は13個?

自宅の裏庭から、太陽系の他の部分と自分の位置関係がわかるのは、とても素敵ですね。

もうひとつ、星占いが星座について正しく理解していないことがあります。

星占いは、黄道12星座が1年を12分割して均等に配置されていると仮定しています。

しかし、実際には、太陽が各12星座で滞在する時間は同じではありません。

ヘビつかい座

さらに、黄道にはもう一つ「へびつかい座」と呼ばれる13番目の星座は入っておらず、そこで太陽は一年のうち18日間も滞在しているのです。

いかがでしたか?

夜空にまたたく星座が実用的でとても奥が深いことに驚いたのではないでしょうか?

これからは、また違った天体観測の楽しみ方ができそうですね。

参照元:Why the Zodiac Still Matters to Astronomy