天の川の中心に位置するさそり座は南半球の星座ですが、(地軸の傾きによって)夏の間は北半球からも見ることができます。
北半球では、西のてんびん座と東のいて座に挟まれた、南の地平線に近い低い位置に見えます。
夏の間、特に7月の夕方に最もよく見えるでしょう。
さそり座は、黄道帯にある12の星座のひとつで、星座では「Scorpius(スコルピウス)」と呼ばれています。
以下、さそり座についての興味深い言い伝えや特徴を紹介します。
さそり座の神話
Scorpius(スコルピウス)はラテン語で「さそり」を意味します。
古代ギリシャ神話では、さそり座は狩人オリオンと結びついていました。
偽エラトステネスによると、オリオンは強大なハンターで、「世界中のどんな動物でも倒せる」と主張したため、母なる大地「地母神」がそれに怒り、巨大なサソリを送り込んでオリオンの命を奪ったとされています。
オリオンが死んだ後、神々の王ゼウスはオリオン座を空に置き、天空で永遠にオリオンを追いかけるようにさそり座を置いたといわれています。
北半球では、さそり座を夜空に見ることのできない冬の間、オリオン座が現れるのです。
そして、夏の夜にさそり座が現れるとオリオン座が逃げるようにして地平線に沈むため、まるで天空からサソリが追い払うかのように見えるのです。
夏の星座「さそり座」を探そう
夏には、南の空を見上げてみましょう。
さそり座には明るい星がたくさんあるうえ、長く曲線を描いた尾が鉤のような形をしているので、見つけやすいでしょう。
天の川の中に位置するため、さそり座には蝶星団(蝶が羽根を広げたような恒星の集まり)や
毒針の先に位置するプトレマイオス星団(数百もの恒星の集まり、別名:すばる)
などの星団や明るい天体も多く含まれています。
次に夏の夜に星空を眺めるときは、南の地平線にさそり座を探してみてくださいね。