自然が洞窟を作るために使う最も一般的な道具は、海や湖など至る所にあります。
その道具とは「水」です。
さて、水で洞窟ができるとはどういうことなのでしょうか?
以下に、洞窟がどうやってできるのかを見ていきましょう。
洞窟にはいろいろな種類があって、それぞれが個性的ですが、共通点もあります。
まずは共通点から。
洞窟は、地下や岩盤の中にある大きな空間です。
ほとんどの洞窟は、人が掘ったものではなく、自然が作ったものです。
そして、洞窟の種類が多いのは、それぞれが作られる場所や自然にある材料、作られ方が違うからです。
長い時間かけて作られる洞窟のでき方
水が岩に当たると、岩が削られます。
これを浸食(しんしょく)といいます。
そして、時間が経つと、水は岩の姿を大きく変えていきます。
鍾乳洞
鍾乳洞(しょうにゅうどう:石灰洞)は、石灰岩という種類の岩が水に溶かされてできた空間です。
水といってもこの場合、水道から出る純粋な水ではなく、大気中や地中の成分(主に二酸化炭素)が溶け込んで「酸性」よりになった水。
酸性よりになった水が染み込むと、岩を溶かして通り道(水脈)を作り、地中に溜まり(空洞)ができます。
つまり、浸食の一種です。
水と酸が十分に岩を侵食していくと、空洞同士がくっついたり、地殻変動が起きたりして新しく大きな洞窟になることもあります。
しかし、洞窟は他にもいろいろな方法で、いろいろな場所にできるのです。
海食洞(かいしょくどう)
海が陸に接した「崖」にも洞窟が作られることがあります。
海の波が何度もぶつかると、崖に小さな亀裂や割れ目ができ、そこから海水が入り込んで、岩の破片を運び去ることで崖の側面が侵食されていきます。
波でどんどん岩が侵食されると、最終的には崖の側面にぽっかりと大きな穴が開くことがあるのです。
このような洞窟は、海食洞(かいしょくどう)と呼ばれ、崖の中でも比較的弱い岩盤層などにできやすいといわれています。
作られるのにあまり時間のかからない洞窟
実際には、石灰岩や崖が水に浸食されるには、とても長い年月がかかるため、洞窟ができるまでには、何百万年もかかります。
今日ある洞窟のいくつかは、人類がまだ存在しないときから形成され始めたであろうものもあります。
しかし、水が岩石以外の場所にある場合は、もう少し早く洞窟を作ることができます。
氷の洞窟(アイスケーブ)
氷河の洞窟は、暖かい季節になると、氷でできた巨大な氷河の一部が溶けて水が流れたり、地熱で周囲の氷が溶けたりすることでできた空間です。
氷河の中にできた大きな空間は、寒い季節になると、再び凍って洞窟になるのです。
アイスランド南東部にあるヴァトナヨークトル氷河にできる洞窟は、青く輝く氷とオーロラの絶景で有名ですね。
実際に氷河にできた氷の洞窟を探検することもできますが、そこは本当に寒いんです。
一方で、氷よりもずっと温かいにも関わらず、素早く形成される洞窟もあります。
溶岩洞窟(ようがんどうくつ)
溶岩洞窟は、火山が噴火して溶岩が地表に流れ落ちたときにできる洞窟です。
溶岩は岩石の液体で、水が氷の液体であるのと同じです。
ですから、溶岩は川の水のように流れることができます。
まず、空気に触れた溶岩の最上層が、冷やされて固まると、溶岩の川に蓋をするように残りの部分の上に岩の地殻をつくります。
残りの溶岩が丘を下って流れ去ると、蓋をしていた岩石の地殻層だけが残り、まるでストローの中のような空洞の通り道ができるのです。
有名なものに、シチリア島のメッシーナ洞窟がありますが、一般的な溶岩洞窟の道には岩棚がたくさんあり、時には曲がりくねっていることもあります。
溶岩洞窟は、石灰岩洞窟や海食洞窟、氷河洞窟よりもはるかに早く形成される点で大きく異なるとはいえ、洞窟であることに変わりはありません。
洞窟はでき方によってたくさんの種類がある
いかがでしたか?
洞窟の種類を知ることで、自然は石灰岩の洞窟のようにゆっくりと、あるいは溶岩の洞窟のように素早く変化することができることが分かりました。
「水」と「溶岩」という異なるものが、ともに洞窟をつくれるとは驚きですね。
あなたはどんな洞窟を探検したいですか?