地球は宇宙に人間が作り出した「泡」で囲まれていた

宇宙・航空科学

人類は地球の表面を変えているだけでなく、地球の周囲の宇宙空間をも変えています。

なんと、人間は地球の周りにバブル(泡)を作り出していることがNASAの研究で分かったのです。

それは、初めて無線通信を行った19世紀にはじまりました。

地球をとりまく泡は、それ以来ずっと成長し続けています。

無線通信が宇宙に作用

2017年、NASAの探査機によって、人類が地球の周囲に超低周波(VLF電波)の巨大なバブルを作っていることが発見されました。

それはほとんどが電波で形成されているため、肉眼では見えません。

無線通信の超低周波は、周波数が3~30キロヘルツなので、音声を送るには弱すぎますが、暗号化されたメッセージを深い海や山を越えて長距離まで届けることができます。

実際に、潜水艦や山での通信をはじめ、多くの工学、科学、軍事活動に使用されています。

そして、はるか遠く宇宙にも。

それらの無線通信による超低周波が宇宙に漏れ出し、宇宙空間にある粒子の動き方や場所に影響を与えているのです。

マサチューセッツ工科大学(MIT)ヘイスタック天文台のフィル・エリクソン氏は、それらが宇宙空間に長く留まりながら一種のバリアのようなものを作り出していると語っています(2017年)。

泡が宇宙放射線から地球を保護

宇宙には、数多くの放射線があり、それらは宇宙から地球に降り注いでいます。

この地球を取り囲むバブルは、これらの大きな運動エネルギーを持つ宇宙放射線にも作用します。

新しい研究では、電波の泡が放射線によるダメージから守っていると示されています。

その方法は、ヴァン・アレン帯(地球を取り囲む陽子・電子からなる放射線体)が、高エネルギーな宇宙放射線を遮るのと似ています。

これは、この惑星の生命にとって大きな意味を持つでしょう。

高エネルギーな宇宙放射線は、衛星、送電網、人間の健康などにとって脅威となります。

巨大なパワーをもつ高エネルギー放射線が地球に流れ込むと、地球上の電子機器は一掃されてしまうでしょう。そうなると、最大で2兆ドル(約300兆円)の損害にものぼると考えられています。

幸運にも、人間が生み出した電波の巨大なバブルは私たちの味方となり、人間に有利に働いているようです。

参照元:

Anthropogenic Space Weather
NASA’s Van Allen Probes Find Human-Made Bubble Shrouding Earth 
Earth Is Completely Surrounded By A Giant Human-Made Bubble