針金を2重に重ねて折り曲げただけのシンプルなデザイン。
ゼムクリップとして知られ、完璧なデザインとさえ評されるペーパークリップです。
この標準的なペーパークリップのデザインは100年以上もの間変わらず、おそらく、これ以上のデザインは生まれにくいと考えられています。
毎年110億個も売れているのがその証拠で、製造工程や構造が信じられないほど効率的なのです。
実は、過去には、もっと優れたペーパークリップのデザインがありました。
以下に、なぜこの標準的なペーパークリップがこれほどまでに広く使われているのか、そのデザインの魅力について紹介します。
ペーパークリップのデザイン
これは、30年以上前に特許を取得したデザインです。
変形しにくく、標準的なペーパークリップよりはるかに丈夫で、より多くの紙を挟むことができます。
では、なぜこのデザインがペーパークリップの真髄とはならなかったのでしょうか?
シンプルな構造と製造工程
一方で、標準的なペーパークリップ(ゼムクリップ)の製造工程はとてもシンプルで効率的。
なんと約10cmの針金を機械で3回曲げただけ。
製造工程では、余分な工程が増えるたびに最終製品の価格は上ります。
つまり、特別な生産技術は必要なく、大量生産しやすいのです。
実は、私たちが知っているこの標準的なペーパークリップは特許を取得していません。
特許や著作権がなく、たくさんの人の手に届きやすい価格帯で、生産し、販売できるデザインなのです。
もちろんこれまでには、他にも機能的に考えられたデザイン性の高いクリップはありましたが、それぞれにメリットデメリットはあり、規模や製造工程などを総合的に考えると、結局はこの普遍的なデザインに落ち着いたようです。
それが、このクリップが完璧なデザインとして評価される理由で、これに変わるデザインが生まれるのが難しいといわれる要因でしょう。
参照元:Why Some Designs Are Impossible to Improve: Quintessence