MRIでは、どのようにして身体の断面画像が映し出されているのか不思議に思ったことはありませんか?
あのトンネルに入ると、一体中では何が起こっているのでしょうか?
実は、MRIは、私たちの体の大部分を占める「水」、水分子のなかの水素原子のもつ磁気を利用して画像を作成しています。
体中に分布する水分子に(強力な磁石と電波を使って)磁場をかけて、水素原子の量やどのような状態かを信号の強弱をもとに色の濃淡で示しているのです。
さっそく以下に、MRIの仕組みについてみていきましょう。
MRIって何?
MRIは、人体の軟部組織を検査するために使われている画像診断装置です。
この装置について見てみましょう。
主要な構成要素は、磁石
電磁波(電場と磁場が互いに組み合わさりながら、空間を伝わるエネルギーの波)
gradient(グラディエント:静磁場の強さを変化させる装置)
そして、コンピューターです。
なぜ水分なのか?
私たちの体は60%が水分でできています。水分子は、体中のいたるところにびっしりとあるので検査しやすいのです。
そして、水分子は、磁性をもっています。
私たちの体内にある何十億もの水分子はそれぞれ、2つの水素原子に結合した酸素原子で構成され、これをH2Oと呼びます。
水素原子の小さな部分は、小さな磁石のように働き、磁場に対してとても敏感です。
MRIでは、強力な磁石と電磁波を放つトンネルに入って、この水素分子核から発生している微弱な電波を受診して、体内を縦や横、斜め方向からの断面画像にうつして見ているのです。
どうやって画像を作り出すのか?
MRIはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略で、体内の断面像を検査するための主な診断ツールのひとつです。
MRI検査の最初のステップは、大きな磁石を使って身体の周囲に統一された磁場を作り出すこと。
その磁場をグラディエントと呼ばれる装置によって調整し、磁気の強さの異なる小さなセクションに分割し、身体の特定の部分(脳など)を分離します。
通常、私たちの体内の水分子はランダムに配置されています。
しかし、磁場の中に横たわると、ほとんどの水分子は磁場と同じリズムや周波数で動き出します。
磁場に沿って動かないものは低エネルギー水分子と呼ばれ、体の一部、例えば脳の画像を作るために、機械は低エネルギーの水分子に焦点を合わせます。
電波は、MRI装置の磁場と同じリズム、または、周波数で動き、磁場と一致、または、共鳴する電波を送ることで、低エネルギーの水分子は磁場とともに動くために必要なエネルギーを吸収します。
MRIでは、この信号の強弱によって画像を白黒の濃淡で示し、低エネルギー水分子や高エネルギー水分子を信号源として、信号の出ている場所や強さを調べ、どの信号パターンに当てはまるかのを導き出すのです。
装置が電波を送るのを止めると、磁場に沿って動いていた水分子は吸収したエネルギーを放出し、元の状態や位置に戻っていきます。
この動きはMRI装置によって検出され、その信号は強力なコンピューターに送られ、コンピューターは画像処理ソフトを使ってその情報を身体の画像に変換します。
磁場の各セクションで身体の画像を分けて撮影することにより、機械は最終的に臓器の三次元画像を作成し、それをもとに体内のことを分析することができるのです。
MRIの仕組みについては、以下の動画で見ることができます。