2024年、ハクトウワシは正式にアメリカの国鳥に指定されました。
「え、それ以前はアメリカの国鳥ではなかったの?」
おそらくこれを聞いて多くの人が同じような疑問を抱いたでしょう。
たしかに、1782年以来、ハクトウワシはアメリカの国章の図柄や、文書に使用される国璽(こくじ)にも描かれています。
しかし、実際には、議会が2024年に法案を可決し、第46代大統領ジョー・バイデンによって署名されるまでは、正式な国鳥ではありませんでした。
「しかし今、その称号は正式に与えられ、これほどふさわしい鳥はいない」
ナショナル・イーグル・センターのナショナル・バード・イニシアチブ共同議長であるジャック・デイビス氏は声明でこう述べました。
建国から250年近い時を経て、ついにハクトウワシは正式な国鳥になったのです。
アメリカの国鳥となったハクトウワシ
ほとんどのアメリカ人は、国旗をあしらった盾を持ち、片方の爪にオリーブの枝、もう片方の爪に矢を持つハクトウワシの紋章になじみがあるでしょう。
しかし、このワシを誰もが国家の象徴としてみとめていたわけではありません。
建国の父ベンジャミン・フランクリンは、かつてハクトウワシを「悪者を象徴する鳥」と呼びました。
2024年、ミネソタ州議員によってハクトウワシを国鳥にする法律が先導され、第46代大統領ジョー・バイデンがクリスマス・イブに、この白頭と黄色いくちばしを持つ猛禽類に名誉を与える法律に署名したため、ハクトウワシは正式にアメリカの国鳥に指定されたのです。
ハクトウワシが国鳥になれた理由
ハクトウワシは北アメリカだけに生息する固有種でした。
ワシは、人間の文化、特に多くのネイティブ アメリカンの文化において、長い間象徴的な意味を持っていました。
世界を見渡せば、ワシは、強さ、誇り、勇気、自由、不滅の象徴として用いられています。
翼を広げると2mを超え、最大級の大きさを誇るハクトウワシは、当時、新興国家であったアメリカの、美しく舞い上がるシンボルだったのです。
絶滅の危機を乗り越えた鳥
1900年までに、この力強い鳥は絶滅の危機に瀕していました。
昔、アメリカの牧場主は、ハクトウワシが牛の命を奪うと考えていたのが主な理由でしょう。ワシは魚、小型哺乳類、その他の鳥類を食べるほかに、腐肉食でもあり、炭疽菌ですでに死亡した牛を食べていました。
炭疽菌は突然死を引き起こすことが多いため、牧場主は、ハクトウワシが原因だと考え、賞金をかけ始めたのです。
その結果、1953年までに約128,000羽以上のハクトウワシが殺されたといわれています。
しかし、1940年、ハクトウワシ保護法が導入され、販売や狩猟などワシを傷つけることは違法になりました。
さらに、1978年にハクトウワシが絶滅危惧種法に追加されたことで、生息地は開発から保護され、繁殖期には巣が守られるようになりました。
一時は絶滅の危機に瀕していた鳥でしたが、個体数は増加していき、1995年までに絶滅危惧リストから外され、2019年頃には、個体数が316,000組の繁殖ペアにまで増加しました。
雄大なハクトウワシは、こうして保全活動によって絶滅の危機から救われたのです。
そして、2024 年には、ついに長い間待望されていた米国の公式鳥への昇格を果たします。
この法案は、バイデンがクリスマス・イブに署名した50の法案のひとつでした。
なぜハクトウワシがアメリカの国鳥になったのかについては、以下の動画で見ることができます。