ここでは地球上で最も長くドライブできる道「世界で一番長くつながった道路」について、その長さや所要時間もあわせて紹介します。
大陸では、隣国と陸続きでつながっている国が多いことを考えると、おそらく日本とは比べ物にならないくらい長い道路が存在するはずです。
今までにドライブをしていて、ふと「この道はどれくらい長く続き、端まで行くとどこにたどりつくのだろうか」と思ったことはありませんか?
日本は島国なので、仮に北海道にある最北端の宗谷岬(そうやみさき)から、最南端の沖ノ鳥島までつなぐ道路があったとしても3000キロもないかもしれません。
事実、日本で最も長い国道として知られる国道4号でも、関東と東北を結ぶ総延長836.7kmの長さです。
以下でいう長い道路とは、無限に回り続けられる8の字や環状交差点などではなく、地球上の2つのポイントをつなぐ最短距離を考えたうえでの、最長走行可能距離です。
大陸別にみる最長道路
地球上には、基本的に4つの異なる主要道路システムがあります。
北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、そして、ユーラフラシア(アフリカ大陸とユーラシア大陸を合わせたもので、アフロ・ユーラシアともいう)です。
それでは、この4つの主要道路システムのなかで、それぞれの大陸の面積や国の大きさなどをヒントに最も長い道路を考えていきましょう。
大陸の面積でみると、最も大きいのがアジア大陸、次いで、アフリカ大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、ヨーロッパ大陸、オーストラリア大陸となります。
ちなみに、国土の大きさでいうと、1位はロシア、2位カナダ、3位アメリカ、4位中国、5位ブラジル、6位オーストラリア、7位インド、8位アルゼンチンとなります。
世界で6番目に大きな国で、かつ、最も小さな大陸であるオーストラリアには、独自の主要道路システムはありますが、他の大陸ほど長い道路はありません。
北アメリカ大陸、南アメリカ大陸の道路
北アメリカ大陸と南アメリカ大陸が陸続きでつながっているとしたら、南北に長い道路が期待できそうです。
実のところ、この2つの大陸は、人工的につくられたパナマ運河によって遮断されており、陸続きではありませんが、狭い運河にかかった数本の橋のおかげで、船だけではなく、道路を利用して車でも行き来はできます。
しかし、残念ながら、南北を一つの道路システムで結ぶうえで、運河よりも大きな壁が立ちはだかっているのです。
それは、「ダリエン地峡(Darien gap)」と呼ばれるジャングル地帯。パナマとコロンビアの国境にまたがり、106キロにわたって続く未開通区間です。
この荒涼たる沼地や熱帯雨林を通り抜ける道はなく、ここはコロンビア革命軍の根拠地であり、かつ、巨大な麻薬密売組織の活動地でもある危険な地帯だといわれています。また、政府の目も行き届きにくいため、米国への密入国者のルートともなっているようです。
このような危険な湿地「ダリエン地峡」に道路を建設するには、勇気だけでなく、巨額な費用がかかるうえ、環境保護への考え方からも望む声は少ないようです。
つまり、北アメリカと南アメリカの道は、2つに完全に分離されており、期待に反して道路システムではつながっていないといえます。
アメリカ大陸で最も長い道路は?
南北のアメリカ大陸全体で、最も長い主要道路システムは、パン・アメリカン・ハイウェイです。
北のずっと端、アラスカ州プルドー湾から始まり、カナダ、中央アメリカをつらぬき、パナマのヤビサまで続いています。総延長はなんと12,070km。車なら6日間かかる距離ですが、それでも世界で最も長い道路とはいえません。
つまり、世界で最も長い道路は、北アメリカにも南アメリカにも、オーストラリア大陸にもありません。
となると、世界で一番長い道路は、最も大きな大陸「ユーラフラシア(アフロ・ユーラシア大陸)」にありそうです。
「アフリカからロシアをつなぐ道路が最長」とはならない理由
実のところ、ヨーロッパ、アジア、アフリカにまたがったユーラフラシアは、人工的につくられたスエズ運河によって大陸間が遮断されており、大陸はつながってはいません。
しかし、スエズ運河には、数本ではありますが、ヨーロッパからアフリカに渡るための橋がかけられたことによって道路で結ばれたため、一つの大きな道路システムとしてカウントできるようになりました。
そうなると理論的に考えて、南アフリカのどこかから、ロシアの東側の地点をつないだ道路がおそらく最も長くなるはずです。しかし、実際にはその考えは正解ではありません。
なぜなら、それにはいくつかの問題点があるからです。
まず、アフリカ大陸の道路は、十分に発達しておらず、大陸を北上するルートのほとんどが、西側にあることです。
たとえば、旅行客がコンゴ民主共和国の首都キンシャサから、コンゴ川を挟んだ対岸にあるコンゴ共和国の首都ブラザビルまで行きたいとします。しかし、首都が隣り合っている世界で唯一の場所であっても、橋がないので車では渡れません。
結果的に、南アフリカからアジアまでの最短ルートのほとんどが、中東(スエズ運河)経由ではなく、高速道路が発達した西ヨーロッパ経由のものとなります。
しかし、そのルートは地中海をフェリーで渡らなければならないことを意味し、道路でつながっていないという点で候補から外れてしまいます。
どうやら、世界で一番長い道路は、ヨーロッパを起点とする道路で考えた方がよさそうです。
世界で一番長い道路
ヨーロッパにおける、連続した道路網の最も端にある地点はポルトガルのサグレスです。ここを起点に道路に沿って進んでいくと、なんと遠く離れたハサン(ロシア)のアルダン川岸辺までドライブすることができます。
その総距離は14,043km(8,726マイル)。想像するだけで気が遠くなりそうな距離ですが、この道路こそが「世界で一番長い道」なのです。
実のところハサンは、ロシアにおいて唯一北朝鮮との国境線に接した地で、それ以上先に行ければもっと距離は伸ばせるかもしれません。
幸いにも、このルートはいくつもの国をまたがって走るとはいえ、通る税関は2か所(ほとんどが欧州連合に加盟している国のため)のみで、実際に走ってみると北アメリカのパン・アメリカン・ハイウェイとそれほど要する日数は変わらないようです。
ゆえに、地球上の2地点を直接つなぐ世界一長い道路は、ヨーロッパのポルトガル(サグレス)を起点として、ロシア(ハサン)まで続く道路で、このルートを通ると、端から端まで、およそ6日と19時間のドライブとなります。