音楽をより素晴らしくしている音の秘密

2017年10月19日

わたしたちは、音楽を聴くと癒されたり、幸せな気持ちになったり、涙することがあります。ときには、はじめのフレーズを聴いただけで、その音楽にどっぷりと引きこまれてしまうことさえあります。

ここでは、音楽のなにが人をそれほどまでに魅了するのかについて、脳科学で解明されてきた音の秘密を中心に分かりやすく紹介します。

音楽は、わたしたちに物語を伝え、内側から感情をゆさぶりかけてくる一方で、あることを期待して脳を興奮させ、メロディーに合わせて体中を動かしたいという欲求を生じさせていきます。

音楽は耳で聴くだけではない

音楽は、ただ耳で聴くだけではありません。脳や体全体で聴いているのです。

自分の好きな音楽を聴いているとき、わたしたちの身体はリラックスし、ときには足の筋肉への血流を増加させてダンスの準備を整えています。

それは、耳で聴いた音楽に反応して脳が興奮し始め、体中に音楽への反応を促すメッセージを発信するからです。

では、なぜ脳は、音楽に最初に反応を示すのでしょうか?

音楽を聴いているときの脳の働き

脳は、音楽が耳から入ってくると、その音符の様式に反応して、ある期待をしながら興奮していきます。そのため、ある音楽の一節を聴いた後に、全く違う曲を耳にすると、予想外の展開に脳が驚くこともあります。

それでは一体、脳が音楽を聴きながら期待していることとは何でしょうか?

音楽は、さまざまな音符から成り立っており、「ドレミファソラシド」の8つの音符がまるで家族のようにともに働きながら、音階を作り上げています。

その中でも「主音」と呼ばれている音階の開始音(調の中心的な音)は、脳が音楽を聴くときに、最も重要視している音だといわれています。

脳が求める「主音」の秘密

主音とは、長調や短調など整備された音楽で使われている音を高さ順に並べたときに、一番下(最初)に位置する音です。

たとえば、「メリーさんのひつじ」でいうと「かわいいな(レレミレド)」のフレーズの最後で使われている「ド」が主音になります。

一般的に、ほとんどの曲には、主音が含まれています。そして、脳は、音楽を聴くたびにこの主音の登場を待っているのです。

歴史的な作曲家たちは、人々(の脳)が主音を期待していることを認識していたともいわれています。

そして、音楽を聴くときのわたしたちの脳は、この主音を耳にするそのときまで、いつになったらその音が聴けるのか、今この曲はどうなっているのかを解き明かそうと必死になっているのです。

さまざまに移り変わりゆく音節が、主音に変わる劇的な瞬間を待っているのです。この進行を音楽用語では「解決」といいます。

脳は、聴いているうちに主音が登場するであろうことを認識しており、それを期待しながら音楽を聴き続けているのです。そして、わたしたちの脳が興奮し続ける限り、体は音楽に反応し続けます。

作曲家は、人(の脳)が期待して主音の登場を待っている間、音律に少し遊び心を加えて、より人々を魅了できるような曲作りに励むのです。

曲の最後に主音が置かれる楽曲は多く、それらは、主音の登場まで、長い時間をかけて人々を曲にくぎ付けにしているのです。