実際の地球の内部構造はどうなっているのか?

自然科学・地球科学

今までに、地球の内部について学んだことがある人なら、おそらくそのほとんどがきれいな層になったドーム状の図形で示されていたと思います。

それは、外側から薄い地殻に覆われた厚いマントル、そして外核、続いて一回り小さい内核があり、すべてが滑らかで均一で、完全にネストされた(同じ形状で大きさが異なるモノが入れ子になった構造をもつ)球体。

しかし、残念ながら地球の内部は、完璧で滑らかな層とはほど遠く、少なくともマントルで発見された「大陸がすっぽり入るほどの巨大なの塊」に関してはとても複雑なことが分かってきました。

そして、私たちは今、地表から2000km以上深く離れたこれらの不規則な層を学ぶことで、実際に地表で起こっていることや地球の進化を考える上で根本的で重要な手がかりを得ようとしています。

ここでは、誰も見たことのない地球内部の世界について、これまでの研究をもとに、地球の内部構造やそれらが地上にもたらす影響などを中心に分かりやすく紹介します。

未だ見ぬ地球内部の世界を調べる方法

地球内部の研究で、科学者らが主に使用するのが地震計です。

地震計とは、その名の通り「地面の揺れを測定する計器」ですが、地震だけでなく、地球で起こる他の振動の調査や惑星の内部がどのようなものかを知るためにも役立ちます。

たとえば、大きな地震が発生すると、震源からは、波状に放射されるエネルギーの放出が見られます。

これらの地震波は、地球のすべての方向に進みますが、直線ではなく、それぞれに進む速度も異なります。

地震波が伝わる速度というのは、通過する岩石の温度と密度によって変わるからです。

たとえば、高温の溶岩は地震波の速度を大幅に低下させますが、低温で密度の高い物質はそれらをより速く伝達します。

そのため、この地震計を使用して、さまざまな場所でこれらの波の到着時間を調べることで、科学者は地球内部の岩層の密度とそれらが何でできているのかといった構造を知ることができるというわけです。

この種の作業は地震波トモグラフィーと呼ばれ、誰も見たことのない地球の内部にどのような世界が広がっているのかを知る主な方法として活用されています。

実は、マントルが完全な球体ではないことが発見されたのもこの方法によるものです。

マントルとは

マントルは、地球内部の個体性の岩でできた厚い層です。実は、これまで滑らかな球体で描かれていたマントルが、とても奇妙な形をしていることが分かってきました。

それは、丸っこい不均一な形で、表面には際立って異なった2つのエリアが存在します。1つは太平洋の下、もう1つは南大西洋から南アフリカにかけたエリアです。

これらの2つのエリアは、大陸全体をすっぽりと覆うほどの塊で、まるで腕が伸びたような姿をした突起があることが1970年代後半に発見されました。

それらは、核とマントルの境界のすぐ上にあり、数百キロメートルにわたって地表に向かって腕のように伸びています。

地震波の動きから分かること

科学者らが、これらの断層を画像化して確認できるのは、それらが低速度ゾーン、つまり、地震波がそれらの塊に衝突すると進むスピードが非常に遅くなるためです(3次元地震波速度構造)。その後、地震波はこの低速度ゾーンの塊から出ると、再び速度を変えます。

この奇妙な地震波の動きは、地球内部の構成要素に関係していると考えられています。

かつて科学者は、この低速度ゾーンがどのような成分からなるのか(組成)明確に把握でませんでしたが、2017年の実験によって、この塊が過酸化鉄である可能性が示されました。

そして、それはマントルからの鉄分に富んだ岩が、高い圧力(高密度になって変化)と高温(部分的に溶融)のもと、海水と反応したときに形成されたと考えられました。

マントルにある塊は、火山に関わりがある

地球の表面を覆うプレート(岩盤)が、年間数センチ規模で移動していることはよく知られています。実は、それぞれのプレートが境界線で地球の中に沈み込むときに、海水がマントルに侵入することがあります。

このような地球内部の構成が、地震から測定した種の地震波データを提供することは予備調査によっても分かっています。

もちろん、科学者が知りたいのは、地球内部が何からできているのかだけではありません。地球上で引き起こされることが、なんらかの枠組みをもった計画に基づいたもので、それがどのように適合するのかを知りたがっているのです。

まだまだ疑問点はたくさんありますが、少なくとも現時点では、これらのマントルにある塊は、火山の中心地に関わりがあると考えられています。

同じように、地球上のほぼすべての(マグマの)火山活動が起こる場所「ホットスポット」、つまり(構造プレートの境界に関係なく)火山の中心は、これらの塊の上にあるようです。

たとえば、ハワイは、太平洋のほぼ中央に位置するホットスポットの火山活動による溶融岩の熱柱(プルーム)によってできた島だといわれています。

そして、マントルには他にも大きな塊がみられます。それらは、洪水玄武岩と呼ばれる大量の玄武岩質溶岩を噴出したアフリカの一部地域のように、消滅した古い火山地帯に関連している可能性があるようです。

そして、これらの2つの主要な塊に加えて、アイスランドの火山システムに貢献している可能性があるものなど小さな塊もいくつかあります。

マントルにある塊はどのように生まれたのか

ただし、それらの塊が「地球の形成時から残されたものか」、それとも「マントルの表面付近から始まって沈んでいったものなのか」など学ぶべきことはまだたくさんあります。

もし、塊が表面からマントルに沈んでいったものなら、溶岩のかけらのように、浮かべるだけの十分な浮力をもつ可能性はあるのでしょうか。

答えは、その塊の化学組成に依存しています。

その組成が何百万年もかけてゆっくりと上昇、または、沈没したものなら、それらの動きは地球の熱の循環に影響を与えるはずです。

それらが解明されると、地球の北と南の磁極が時々入れ替わる理由も説明できるかもしれません。

地球の磁極の逆転

太陽や宇宙から降り注ぐ有害な放射線から私たちを守る「地磁気」は、変化します

実際に、北と南の地磁気の向きが逆になる「磁気反転」は、何十万年、または、何百万年もかかって不規則に何度も引き起こされてきました。

これらは、地球内部の熱を逃がすために行われる(磁気を含んだ)流体の循環運動によるもので、外核からマントルの塊が上昇することよって引き起こされると考えられています。

それでは、もし、再び磁極の逆転が起こると、私たちの生活はどうなってしまうのでしょうか。地球に降り注ぐ大量の放射線や荷電粒子(かでんりゅうし)の負荷によって電気系統のインフラは破壊され、人類だけでなく生命体の多くに危機が訪れる可能性があります。

最後に

幸いなことに、地震波トモグラフィーは年々改善され続けています。

そして、より多くの科学者が研究に参加するにつれて、これらの地球内部に関する理解はますます高まっています。

最新の画像が出るたびに、これらのマントルの塊がどのようにでき、何千キロも離れた地球の表面にどのように影響するのかを知る手掛りを手にしているのです。

今では、地面の振動の計測から、地震がどこから始まったのかを推測できるようにもなりました。

たしかに私たちは、地球の内部を見ることはできませんが、流体力学や地質学、数学など、さまざまな分野の研究が共同ですすみ、地球の内部構造やメカニズムが解明されてくると、これから訪れるであろう地震や磁極逆転といったリスクへの対応策を講じることができるかもしれないのです。

参照元:
This Diagram of Earth Is a Lie
Why The Earth’s Magnetic Poles Could Be About To Swap Places