ニンニクの風味を最大化する方法

にんにくのにおいを強くする方法料理に役立つノウハウ

ニンニクのにおいの強さは、包丁での切り方、下ごしらえや加熱調理のコツで簡単にコントロールすることができます。

ポイント
・包丁で細胞を傷つけることで化学反応を引き起こし、におい物質を出す
・放置しておいたり、加熱したりするとにおいは弱まる
・糖分が多いので加熱で甘みを引せるが、焦げやすいので注意

つまり、ニンニク好きは生のまますりつぶして、できるだけ早く食べること。

以下に、ニンニクの化学反応を利用した下ごしらえ方法や加熱調理のコツを紹介します。ガーリックパウダーも有効活用すれば大きな味方となってくれる調味料ですよ。

実は、ニンニクのあの強烈なにおいは、通常のニンニクには含まれていないアリシンという化合物が主成分です。不思議だと思いませんか?

ニンニクのにおい・風味が生まれる仕組み

ニンニクがただ平和に存在しているときは、アリシンの成分であるアリインというアミノ酸アリナーゼという酵素別々の細胞で分離しています。

しかし、空腹な草食動物の歯や人間のがニンニクを傷つけると、分離していた細胞が破壊され、アリインとアリナーゼが出会って爆発。

酵素アリナーゼが、無臭の化合物アリインを強烈なにおいをもつアリシンに変化させるのです。

自然界では、この硫黄化合物の爆発が、ニンニクの傷ついた組織を飢えた捕食者から守っています。

なるほど!それならニンニクを使った料理でパンチを効かせることができるのは当然だね。

しかし、ニンニクの化学反応を利用した下ごしらえや加熱調理のコツで、この化合物が生み出すさまざまな風味をコントロールすることができます。

ニンニクのにおいの強さや風味をコントロールする方法

ぼくはニンニクのにおいが大好きなんだ!

ニンニクの匂いを最大限強く、爆発級に出すにはどうすればいい?

ニンニクをみじん切りにしたり、乳鉢と乳棒ですりつぶしたり、勇気があればおろし器ですりおろすなどして、細胞壁を壊してください。壊せば壊すほど、アリインとアリナーゼはお互いに接触し合い、より多くのアリシンを作り出すことができます。

しかし、アリシンは非常に不安定な分子なので、生成されると同時に分解が始まり、放置しておくと無くなります。

そのため、にんにくパワーを最大限に発揮させたいなら、下ごしらえしたものを生でできるだけ早く使うことです。

アリシンは加熱すると分解が早まるので、生のまま使う方が強い香りを料理に活かせます。

このとき、アリシンは加熱によって消えるのではなく、他の硫黄ベースの化合物に変化します。

この化合物はそれほど強力ではありませんが、ときにはフルーティーであったり、肉っぽかったり、クリーミー、ナッツっぽいなど、さまざまな風味を持っています。

ニンニクの風味をより強く、より複雑なものにしたいなら、まず細胞を壊して化学爆発によるアリシンを作り、次にアリシンを調理して変化させるのがよいでしょう。

ニンニクの香りを抑えたい場合はどうすればいいの?

一方で、まろやかな風味のニンニクを味わいたいなら、香りの爆弾を解除することが大切。

ニンニクを丸ごと摂氏60度まで加熱すれば、アリインと接触する前にアリナーゼの分子の活性が失われるので、反応を起こさなくなります。

細胞を壊さずに加熱することで、アリシンの生成を防げるので、硫黄化合物の臭いに邪魔されずに、にんにくの甘みを感じることができるのです。

実のところ、ニンニクには天然の糖分がたくさん含まれていて、その糖度はサツマイモのそれと同じくらいだといわれます。

また、ニンニクの糖質は熱を加えるとカラメル状になり、さらに甘くなります。フライパンで軽くこんがりと色付くまで炒めるとニンニクの甘味がアップするのです。

しかし、ここで注意が必要です。決して加熱しすぎないでください。

ニンニクは糖分が多く、水分が少ないので、焦げやすくとても苦くなります

とても勉強になったよ。

そういえば、ガーリックパウダーって便利だと思わない?

ガーリックパウダーですが、私は正直、科学的に検証するまではなんとなく敬遠していました。

しかし、ガーリックパウダーについて調べてみると、とても便利な調味料であることが分かりました。

便利な調味料「ガーリックパウダー」について

ガーリックパウダーのメーカーは、ガーリックパウダーを作るとき、まず、ニンニクをスライスしてからアリシンを生成します。

次に、そのスライスを乾燥させます。この乾燥の過程で2つのことが起こります。

1つ目は、アリシンが分解されて、さまざまな風味を持つ化合物に変化。

2つ目は、スライスに残っているアリナーゼを乾燥させることで、一時的に不活性化させる。

このようにして乾燥したスライスを粉砕して瓶詰めすると、アリインとアリナーゼが混ざり合いますが、アリナーゼは不活性化されているので、何も起こりません。

しかし、ここで重要なポイントがあります。

粉砕されたガーリックパウダーを料理で使うために、水を加えると、アリナーゼが再活性化されるのです。

もちろん、ガーリックパウダーには、アリインがそこにあるわけですから、硫黄化合物が爆発するわけです。

これによって、ニンニク特有の風味を引き出すことができます。

たしかに、アリナーゼを脱水させる過程で風味の爆発力は幾分弱くなりますが、ガーリックパウダーは、おいしいニンニクの風味を料理に提供してくれる便利な調味料だといえるでしょう。

科学の力でニンニクの風味はコントロールできる

いかがでしたか?

化学反応を理解すれば、ニンニクの風味を微調整したり、甘味を引き出したりして、自分の好きな味に仕上げることができます。

タマネギ、ネギ、エシャロットなど、ニンニクの近縁種で同じような化学反応を示す食品からも、ニンニクの風味を引き出すことができます。

ぜひ、それぞれの食材でも複雑な風味を体験してみてください。

キッチンは、私たちの生活の中で科学が体験できるとてもおもしろい場所のひとつです。

これからも料理をしながら、ときに科学を体験し、観察し、楽しんでみてくださいね。

参照元:Get MORE from your garlic