1歳の犬は人間の30歳?犬の年齢の新計算式とは

犬の年齢の数え方動物・生き物

DNAの化学的変化に基づいた犬の年齢の計算式によると、犬の加齢スピードは若いうちに最も早く進み、年を取るにつれて遅くなるようです。

1歳の犬は7歳の子供ではなく、むしろ30歳くらい。10歳の犬は70歳くらいですが、15歳の犬は100歳を超えておらず、まだ80歳くらいだということが分かってきました。

おもしろいと思いませんか?

犬の年齢については、これまで「犬の1年は人間の7年に相当する」といういわゆる「肉球の法則」に基づいて考えられてきました。

つまり、愛犬が10年生きたとき、彼らはすでに70歳の老犬に相当するという考えです。

しかし、新しい研究によってこれまでのような1対7という単純な犬の年齢の数え方は否定されました。

学術誌「Cell Systems」に掲載された研究によると、1歳の犬は(これまで考えられていた)7歳の子供に相当しません。むしろ30歳くらいが妥当でしょう。

さらに、DNAの化学的変化に基づいて、犬の年齢を計算するためのより正確な公式も分かってきました。

計算式によると、どうやら子犬は私たちが思っているよりもずっと年上で、分子レベルでの老化の仕方はより複雑なようです。

6歳の犬は人間でいうと約60歳。
10歳の犬は確かに70歳の人間と同じくらいの年齢ですが、15歳の犬はそうではありません。
15歳の犬は実際には100歳を超えておらず、むしろ80歳に近いのです。

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それでは、下記に研究がすすむにつれて分かってきた犬の年齢について分かりやすく紹介していきます。

犬は私たちが思っているよりもずっと年上

生物工学の教授Trey Ideker氏をはじめとするカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究者たちは、生物が年をとるにつれて起こるDNAの化学的変化(DNAメチル化)に基づいて、犬の年齢を計算するより正確な式を考案しました。

犬は、人間と同じような発達過程をたどっており、時間の経過とともに老化し、加齢関連の病気にかかりやすくなります。

しかし、分子レベルでの老化の仕方はより複雑で、最初は急速に老化し、人生の後半になると遅くなります

たとえば、がどのくらい生理学的に成熟しているかというと、生後6ヶ月までには人間の12歳に相当し、生後9ヶ月の犬が子犬を産むことができます

驚くべきことは、1歳の犬の年齢が正確には30歳、4歳には52歳の人間のようなものだということです。

犬の年齢、ライフステージが分かる計算式の発見

犬の年齢

写真: IDEKER LAB, UC SAN DIEGO

ヒトとイヌのDNAは一生を通じてあまり変化しませんが、メチル化マークと呼ばれるDNA上の化学的マークは変化します。

Trey Ideker氏はこの変化を人の顔を見て、しわや白髪などの特徴から年齢を推測するのと同じようなものだと考えています。

今回の研究では、カリフォルニア大学デービス校のDanika Bannasch氏と米国国立衛生研究所のElaine Ostrander氏という2人の犬の専門家の協力を得て、生後数週間の子犬から16歳の犬まで、104頭のラブラドール・レトリバーのメチル化パターンの変化を調べ、人間と比較しました。

その結果、犬と人間のライフステージをより正確に一致させる新しい計算式を発見。

犬は幼少期に加齢スピードが速く、人生の後半では加齢が鈍化

犬の年齢を人間でいう場合=「16 ln (あなたの犬の年齢) + 31」です。
(この式のlnは、数字の自然対数を意味します)

これで計算してみると、犬の年齢は、単に人間の7倍になるわけではないことがすぐにわかります。

それどころかこの式では、犬の年齢が1歳上がるごとに、人間の年齢の増加幅が小さくなっていくことになります。

この公式に基づけば、生後8週間の犬は生後9カ月の赤ちゃんの年齢にほぼ一致し、どちらも子犬や赤ちゃんが歯を生やす乳児期にあたります。

また、ラブラドール・レトリーバーの平均寿命12年は人間の世界平均寿命70年に相当します。

あなたの愛犬は年よりかもしれない

6歳になる愛犬と走るのが好きなTrey Ideker氏は、この研究後に、今は愛犬に少し同情しているといいます。

発見された新しい計算式ではこの愛犬は、すでに60歳を超えていることに気付いたからです。

この研究について動物行動学の専門家であるLucy Asher氏は、「老化を細胞の年齢という観点から考えると、この新しい論文は人間と犬の年齢を一致させるのに非常に役立ちます」とガーディアン紙で語っています。

ただし、犬の種類によっても寿命は異なるため、ラブラドール・レトリーバー以外の犬種や他の動物種でも適用可能かなど、さらなる研究は必要となります。

しかし、今後、寿命の異なる犬種の調査がすすめば、種を超えた加齢を理解するためのツールとしてだけでなく、獣医師が動物を治療する際に、事前に対策を講じるための臨床手法としても応用できるかもしれないため今回の研究は大きな一歩となるでしょう。

参照元:
A scientific measure of dog years
https://youtu.be/PcZi5XGXrQQ