科学者たちは、大昔に、小型飛行機と同じくらいの大きさの動物が地球の空を飛んでいたと考えています。
ジャンボジェット機ほどではありませんが、6800万年から200万年生息していたとされる巨大な爬虫類で、名前は「ケツァルコアトルス」。
史上最大級の翼竜です。
昆虫、コウモリ、鳥、私たちの周りで空を飛べる動物はそれほど大きくありません。
飛行機みたいな大きなものが空を飛べるって、すごいことだと思いませんか?
以下、史上最大級の翼竜「ケツァルコアトルス」について紹介します。
翼竜は「恐竜」や「鳥」とは異なる種
ケツァルコアトルスは、恐竜と同じ時代に生きてはいましたが、恐竜ではありません。
多くの人が誤解しがちですが、恐竜とは、大昔にいた陸生動物の一種を指し、大昔にいた動物が全て恐竜というわけではないのです。
実は、恐竜と一緒に暮らしていた動物はたくさんいます。
ケツァルコアトルスが属する翼竜をはじめ、カメや小さな毛皮の哺乳類、巨大なワニも恐竜と同じ時代に生きていました。
このように進化の系統では遠く隔たりがあっても、同じような環境条件で生きる生き物が同じような姿に進化することを「収斂進化」といいます。
収斂進化については、以前、「ゾウと人間の脳は驚くほど似ている」で触れているのでご参考ください。
ケツァルコアトスとは
ケツァルコアトルスは、他の多くの古代動植物と同じように、地球上のどこにもいない「絶滅種」です。
人間が地球に住むずっと前に絶滅したため、生きている姿を誰も見たことがありませんが、この動物について、とても興味深いことが分かっています。
ケツァルコアトスの体は本当に大きかったのです。
翼のある前あしと後ろあしを地につけて首を伸ばして立つと、背丈はキリンと同じくらい。
翼を広げると翼長が小型飛行機くらいの大きさで10メートルを超えると考えられています。
たしかにこれほど大きなケツァルコアトルスが飛べるかどうかを実際に見て確認するチャンスはありません。
しかし、多くの科学者はケツァルコアトルスが飛んだと信じています。どうやら体の大きさから考えて、おそらく常に羽ばたくのではなく、空を滑空しながら時折羽ばたいていたようです。
化石から分かること
さて、誰も見たことのない絶滅動物について、どうしてこんなにもたくさんのことが分かるのでしょうか?
それは、太古の生物が残した手がかりを探し出す研究を行う古生物学者と呼ばれる人たちによって少しずつ解明されてきたからです。
太古の生物の手がかりをパズルのように組み立てて、この巨大な動物がどのようなものであったかを描き出すのです。
最もよく知られている手がかりは化石です。
ケツァルコアトルスなどの古代生物の骨や痕跡です。
「史上最大級の翼竜」が飛んでいたと考える理由
たとえば、翼竜「ケツァルコアトルス」の化石は、彼らが大きくて長い翼を持ち、骨のすぐそばの土に皮膚の跡があることから、長い骨が皮膚でつながって翼をつくっていたことを突き止めるのに役立ちました。
さらに古生物学者は、古代の動物の骨の形などを見て、今生きている動物の形と比較し、共通点があるかを探し出します。
今の動物の羽とケツァルコアトラスの羽を比べて、「ケツァルコアトラスも飛んでいたのだろう」と推測するわけです。
皆さんもご存知のように、翼のある動物がすべて飛べるわけではありません。
ダチョウやキウイのように、飛べない動物もいますが、ケツァルコアトルスは強い筋肉をたくさん持っているなど、飛べない鳥の翼よりも、飛ぶ鳥の特徴に似ている点が多いことから、翼とあしを使って空中に飛び出したのだと考えられるようになりました。
おそらく数回羽ばたくだけで 上空で体を維持できたはずです。
まるで凧のようですね。
凧は動いたり、羽ばたいたりしなくても、空高く維持できます。
巨大な翼竜ケツァルコアトルスも同じように、大気を操って空中に浮き、おそらく一度空中に飛び出したら、止まることなく約16,000キロメートルを移動できたであろうと考えられてるのです。
これは、地球をほぼ半周する距離です。
参照元:The Biggest Animal Who Ever Flew! | The Science of Flight