コバエの生態をもとに、彼らの好物や大量に繁殖する理由、さらには、罠を作ったり、掃除したりといった有効な駆除方法などもあわせて紹介します。
果物の上、ゴミ箱の近く、暖かくなると、コバエは突然、どこからともなく大量に現れます。
そして、一度現れたら、叩いても、つぶしても、捕まえても、ずっと居座ろうとするのです。まるで不思議な力を持っているかのように。
彼らは、リンゴやバナナなど、ありとあらゆるものにとまり、何百もの卵を産み、それが何百ものウジ虫に孵化し、さらにコバエに蛹化します。
さて、私たちの知る限り、コバエが異次元からテレポートして私たちの家にやってくることはありません。
では、以下にコバエはどこからやってきて、なぜ駆除するのが難しいのかを見ていきましょう。
1キロ離れたところからも匂いをかぎつける
実は、コバエという名の昆虫はいません。
私たちがコバエと呼ぶのは、主にハエ目ショウジョウバエ科の昆虫で、たくさんの種類が存在します。
では、ショウジョウバエ科の標準的な種類であるキイロショウジョウバエを例にその興味深い生態をみていきましょう。
ショウジョウバエは、頭上にある小さな触角のおかげで、1キロ以上離れたところから食事の匂いを嗅ぎつけることができます。
この触角は、腐った果物が放つ酢酸などの化学物質を嗅ぎ分けるために特別に調整されており、一度匂いにロックオンされると、彼らを家の中に入れないようにするのはほぼ不可能だといわれています。
コバエは2mmほどのゴマ粒サイズで、どんな割れ目や隙間もすり抜けて入り込むことができるからです。
コバエは菌類や微生物も大好物
実のところ、一般的なイメージとは異なり、コバエが狙うのは匂いのある果物だけではありません。
腐敗を引き起こす菌類やその他の微生物も狙っているのです。
そして、彼らがはるばる遠くからご馳走を食べに上陸すると、事態はさらに厄介なことになっていきます。
コバエは1匹しか見かけないということはありませんよね。
それは彼らのライフサイクルが信じられないほど速いからです。
驚異的な繁殖力の理由
1匹のメスが1日に産む卵は最大100個で、それは24時間以内に孵化します。
生まれたてのウジ虫は、果実の皮の下に潜り込み、微生物による腐敗を餌にします。
そして、数日後には蛹化し、完全に羽化したコバエになるのです。
11日目か12日目には、今度は自分たちが小さな赤ちゃんを持てるほどになります。
つまり、2週間もしないうちに、コバエのいなかったはずの家であちらこちらにコバエが大量に飛び回るようになるのです。
なぜコバエは駆除が難しいのか?
さて、この頃になると、みなさんは1匹ずつ叩いて退治しようとするかもしれません。
しかし、コバエを叩くのは簡単なことではありませんよね?
科学者たちはその理由を発見しました。
研究対象となったミバエは数学的な脱出の魔術師であることがわかったのです。
まず、彼らは270度の視野を持っているので、前後左右のどの角度からでもあなたが来るのを確認できます。
実際にあなたの攻撃の方向と角度を計算して、それに応じて100ミリ(0.01)秒という短い時間で逃げる計画を立てるのです。
科学者たちは、休息中のミバエが攻撃を感知すると、脚の位置を変えることから、このことを突き止めました。
例えば、あなたの手が正面から来る場合、ミバエは真ん中の脚を少し前に動かして体を後ろに傾け、脚を前方に蹴り上げて、後方に素早く離陸します。
空中に飛び出したら、もはやつぶすのは簡単ではありません。
100分の1秒以内に方向転換し、1秒間に200回羽ばたき、すばやく加速することができるのです。
イエバエより小さな脳なのに、なかなかやるとおもいませんか?
では、どうやったらコバエを駆除できるのでしょうか?
有効な駆除方法はあるのか?
専門家の中には、罠を作ることを提案する人もいます。
容器にリンゴ酢を2センチほど入れて、漏斗で蓋をして動かないようにテープを貼り、ハエが這い出られないようにするのです。
これは、コバエが、大好物は見つけられても、入ってきた穴(出口)を見つけられないためです。
しかし、ここで問題です。
たとえ一匹残らず捕まえても、食べ物がある限り、コバエは何度でも戻ってきてしまいます。
そして、あなたにとって残念なことに、コバエは好き嫌いがないのです。
腐った果物が大好きなのは確かですが、彼らが好む微生物がぎっしり詰まったワインなどの発酵液も大好物だし、台所のシンクにたまったヘドロにもよだれをたらしてやってくるでしょう。
つまり、コバエを駆除するためあなたができることは、掃除と整理整頓しかないようです。