謎多きチョウチンアンコウの生態

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チョウチンアンコウは、体の2倍ものエサを丸のみにし、性的寄生と呼ばれる不思議な繁殖戦略をとるなど、実にユニークな生態をした生き物です。

これらのアンコウ目に含まれる魚には200以上もの種類があり、そのほとんどが世界でも有数の深海、特に大西洋に生息しています。

以下に、釣り竿をたらして光るルアーで獲物をおびきよせるA級ハンター「チョウチンアンコウ」の実にユニークな生態について紹介します。

チョウチンアンコウは「釣る魚」

チョウチンアンコウの名前の由来は、頭から生えている「イリシウム」と呼ばれる長い繊維からきたもの。

イリシウムは、背びれのすじが1本変形して伸びたもので、チョウチンアンコウは、これを釣竿のように使って狩りをするのです。

釣り竿の先端にはルアーのような「エスカ」と呼ばれる膨らみがありそれが電球のように光って、その光に引き寄せられた魚たちがアンコウの口の中に入る仕組み。

つまり、チョウチンアンコウは「釣る魚」なのです。

深海にすむチョウチンアンコウ

チョウチンアンコウは見た目だけでなく生態も実にユニークです。

例えば、こんなこと。

先程、チョウチンアンコウは海の深いところに生育するといいました。

しかし、その多くは「真夜中のゾーン」と呼ばれる本当に冷たく深い海底に生息しているのです。

その名前から想像がつくかもしれませんが、真夜中のゾーンは真っ暗です。

なぜなら、この海域はとても深いので、太陽の光が届かないからです。

そのため、動物が見ることのできる唯一の光は、アンコウのような特定の生物が放つ特殊な光だけ。

光を罠として狩りにつかう

真っ暗な深海にすむアンコウのルアーには、自分で光を作る生物発光バクテリアが何百万もいます。

海洋性の生物発光の多くは、可視光線の中でもとくに深海でみえやすいといわれる青緑色の領域が多いようです。

アンコウは、このルアーを釣り竿のように前後にふってゆらゆらさせて獲物を狩るのため、実に優れたハンターとして知られるようになりました。

小魚のような深海生物は、そのルアーの光を見ると、もっとよく見ようと泳ぎ寄ってきます。

そこで、アンコウのもうひとつの魅力の出番。

彼らのほとんどは、砂地に隠れてルアーをだけを出し、獲物を待ちます。

そして、他の生物が近づいてくると、巨大な口をパカっと開いてひとのみ。

アンコウは肉食で、甲殻類や魚類、ときには他のアンコウを食べることもあります。

タウマティクテュス アクセリという名のアンコウの仲間のように口の先端でルアーを光らせて、大きな口を開けたまま泳ぐ種もあります。

体の2倍のエサも丸飲み

不思議なことに、アンコウは自分の2倍くらいもある大きな動物も食べることがあります。

どうして体より大きなものがお腹に入るのでしょう?

アンコウの顎は体の2倍まで伸びるほど大きく体はやわらかくてうすい骨格と皮で覆われお肉もとっても柔らか。身体がしなやかでよく伸びるので、たくさん飲み込むことができるのです。

アンコウの天敵は?

実は、アンコウを食べることができる生物は人間以外ほとんどありません。

私たちが知る限り、アンコウの捕食者はほんのわずかなのです。

でも、もうひとつアンコウのユニークなところを知りたい?

アンコウのメスはオスに対して非常に支配的です。

メスはオスよりかなり大きい

実は、頭の上に特別なルアーをもつのは、メスのアンコウだけなんです。

メスはオスに比べて体のサイズが10倍くらい大きいのです。

オスは、人差し指くらい(4cmほど)の大きさしかなく、メスに運ばれるほど小さいサイズです。

これは、オスが成虫になると自分でエサをとることができず、メスにしがみついて寄生して生きるしかないからです。

オスのアンコウは、ある年齢に達すると、消化器官が働かなくなるので、メスを探さなければならなりません。

驚くべきことに、オスがメスにかみつくとそこから2匹の皮膚組織が融合しはじめます。とうとう循環系もがつながっていき、そこからオスはメスの血液から栄養を摂取して生きていきます。

中には6匹のオスを一度に運ぶメスもいるそうですよ。

これは、性的寄生と呼ばれ、メスとオスの出会いの場が少ない深海での繁殖戦略に役立っているようです。

アンコウのメスはなんと頼もしいのでしょう。

海にすむ生物にはまだナゾが多い

さて、これでお分かりいただけたでしょうか。アンコウは深海に住み、暗闇で光る、A級ハンターです。

とはいえアンコウは、私たちの素晴らしい海に住む魅力的な生き物のまだほんの一部。

海には、私たちが知らない生き物がまだたくさん生育しているのです。

参照元:All About Anglerfish