ミツバチはなぜ私たちの生活に絶対に欠かせないのか?

ミツバチがいなくなるとどうなる?動物・生き物

ミツバチは、最も重要な生物種のトップに近い存在だといわれています。

重要な受粉媒介者であり、世界の人口を養う作物の3分の1以上の受粉を担っているのです。

しかし、現在、ミツバチは記録的な速さで失われつつあります。

では、ミツバチのいない世界はどうなってしまうのでしょうか。そして、それは私たちの食べ物の供給にどのような意味を持つのでしょうか。

現在、私たち全員が花粉媒介者に依存しているため、生態系、食糧システム、経済が大きな打撃を受けることは避けられないようです。

ミツバチは最高に優れた受粉媒介者

もし、地球上のすべてのミツバチが明日突然死んでしまったら、私たちの地球にとって良いことはないでしょう。

なぜなら、ミツバチによる受粉は地球上の生態系にとってかなり重要だからです。

受粉があるからこそ、植物は繁殖し、人間がバランスのとれた食事をするために必要な果物や野菜が育つのです。

実際、ミツバチは何百万年もの間、花を咲かせる植物と共に進化し、花粉媒介マシーンと化してきたのです。

ミツバチが花粉を集める仕組み

カリフォルニア大学デービス校の養蜂の専門家エリナ・ニーニョ博士は、ミツバチは受粉媒介者としての特殊な装置「」と「花粉かご」をもっているといいます。

ミツバチの体が毛むくじゃらなのには理由があり、花粉をつきやすくしているのです。

体についた花粉は、ブラシのような毛の生えた脚の内側で器用に集められて、蜜と一緒に団子状に丸められていきます。

これは、花粉だんご花粉荷と呼ばれ、ミツバチは、これを後ろあしの花粉かごと呼ばれる花粉を蓄えるための部位に移動して、長い毛で支えながら巣まで運んでいるのです。

ミツバチがいない世界とは

人間が食べる作物の84%が昆虫受粉だといわれており、ミツバチはその受粉の多くを助けているのです。

世界的に見ると、その年間の食糧生産は2350億ドルから5770億ドルという途方もない規模になります。

ミツバチやその他の受粉媒介者がいなければ、スーパーマーケットの棚に並ぶ果物や野菜は現在の約半分になり、青果売り場は変わり果ててしまうでしょう。

アーモンドやリンゴ、アボカドのような贅沢品は手に入らなくなり、乳製品の生産にも支障が出ます。

乳牛の飼料作物もミツバチの受粉に頼る種が多い為、牛乳や乳製品の生産に影響が出てしまうのです。

子供たちが大好きなアイスクリームもなくなるでしょう。

ミツバチの絶滅は生態系を崩す

ミツバチの絶滅は生態系に悲惨なドミノ効果をもたらします。

ミツバチが受粉を助けている植物を食べる動物が食べていけなくなり、さらに食物連鎖に悪影響を与える可能性があります。

幸いなことに、人類は皆さんが予想するような世界的な飢饉に直面することはないでしょう。

農作物の値段は高騰

なぜなら、私たちが食料として依存している植物の中には、風媒花(ふうばいか)で受粉するものもあるからです。

そのため、もしハチの黙示録が起こったとしても、私たちは、1日の必要カロリーを満たすことはできます。

しかし、私たちの体に必要な栄養素を供給できる食品が不足し、極めて高価になるため、私たちの食生活は大きな打撃を受けることになるでしょう。

動物の受粉に依存している植物だけでは、私たちの健康を維持するために必要な栄養素を満たすことはできません。

私たちはおそらく、とても病弱になってしまうでしょう。

例えば、かんきつ類について考えてみましょう。

かんきつ類がなくなると、ビタミンCの摂取が難しくなります。

クレープフルーツにはビタミンAが豊富です。ブロッコリーもビタミンCやビタミンK、葉酸やカリウムが含まれていますし、アボカドやブルーベリー、ホウレンソウ、ナッツなども受粉媒介者は昆虫です。

栄養剤やサプリメントで補えばいいかもしれませんが、やはり実際に果物や野菜を食べているときほど容易に、すべてのビタミンを体に取り込むことできないようです。

米国農務省(USDA)によると、ミツバチが米国の農家のために行う仕事は、年間約150億ドルの価値があります。そのため、ミツバチがいなければ、農産物の値段は高騰してしまうのです。

ミツバチは記録的なスピードで失われつつある

そして、私たちは予想以上にミツバチのいない未来に近づいているのかもしれません。

2018年、アメリカの養蜂家は41%のコロニーを失ったと報告し、世界では過去10年間、記録的なスピードでミツバチを失い続けているのです。

ミツバチは、少なくとも過去12年間では、最大で約45%減少している年もあります。

そして、科学者たちは、ミツバチの個体数が急激に減少した正確な理由を特定できていません。

しかし、地球の環境変化、農薬の使い過ぎ、そしてミツバチのコロニーに菌を撒き散らす寄生虫のミツバチヘギイタダニなどが原因ではないかと考えられています。

現在、世界各国ではミツバチのコロニーを監視し、ロボットを使った新しい受粉方法の開発にも取り組んでいます。

ドローン受粉機の開発にも取り組んでおり、ドローンの技術を使って花の受粉を行おうという試みもあります。

しかし、それらはすべて、昆虫による受粉に比べてコストがかかる可能性が高いのです。

では、一般の人がミツバチに優しくするためにできることは何でしょうか?

庭があるなら、さまざまな花を植えて、一年を通してミツバチが蜜を吸えるようにすることです。

野生のミツバチや在来種のミツバチは、土の中に巣を作ることが多いので、芝生を張り替えるときなどは、土がむき出しになるようにすると便利です。

また、水へのアクセスを確保し、可能な限り農薬の投入を減らすこともミツバチのためになります。

世界のミツバチの数を守るための措置はすでにとられていますが、地球上で最も賑やかな花粉媒介者を守るためにすべきことはまだたくさん残っているようです。

参照元:Why Bees Going Extinct Could Mean No More Ice Cream Or Avocados

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