ネコがトラやライオンのように頂点捕食者（小さいという点はのぞいて）であることを考えると、私たちの家は、彼らが24時間年中無休で暮らすには本当に奇妙な場所です。
というのは、ロンドン大学キングス・カレッジのアビゲイル・タッカー教授。彼女は、「The Lion in the living room (リビングに住むライオン」の著者でもあります。
家で飼われているネコの多くは、どうしようもなく退屈しています。
飼い主は、そんなネコのために、しばしば新しいおもちゃを購入しますが、なぜかネコはそれが入っていた箱の方にばかり興味津々。
実のところ、猫が箱好きなのは周知の事実で、どんなに高価なおもちゃでも単純な段ボール箱にはかないません。
以下に、ペットとして飼われているネコが箱を好み、箱に飛び込んだり、箱から突然飛び出したりして遊ぶ理由について紹介します。どうやら箱は、ネコにとって居眠りや狩猟の場として完璧な場所を提供しているようです。
ネコは束縛を嫌う
一般的にネコ科の動物は、限られた区間に閉じ込められたり、自由を奪われたりする束縛を嫌います。
それは、動物園でみられるネコ科の動物が、奇妙にも目的を持たない同じ行動をよく繰り返していることからもよく分かります。
特にペットで飼われているネコは、家の中で充実した活動ができていないように思えます。
なかでもそんなネコの興味深い行動の一つが、行動範囲の制限された家で、箱とじゃれあうようにして遊ぶ様子です。
ネコが箱好きな理由
ネコは箱が大好きです。
ペットとして家で飼われているネコは、箱にジャンプして入ったり、跳び出したりを何度も繰り返して遊ぶ傾向があります。
実は、これは、典型的なネコ科動物の狩猟行動の一種で、獲物を待ち伏せるときの行動だと考えられています。
狩猟行動の場を提供
自然界のネコ科動物は、オオカミや他の犬のようにはじめから獲物を追いかけることはしません。
彼らは、獲物を待ち伏せしたり、静かに忍び寄ったりして、隠れながら一気に飛び掛かる捕食者です。
これらの奇妙でかわいらしい行動は、獲物を獲るためのトレーニング。つまり、突然に箱から飛び出してくる行動は、ネコ科動物の本能的な狩猟行動だったのです。
安全で快適な空間を提供
箱の中にいるのが好きなのは、密閉された箱の空間が安全な隠れ場所として完璧な条件をクリアしているからでしょう。
箱の中なら、捕食者や敵が、横や後ろから忍び寄ることはできませんし、誰かから見られるストレスの多い状況から身を隠してくれます。
特に新しい環境に入った場合に、箱があることでネコの不安感は軽減され、環境に適応しやすくなると考えられています。
また、段ボール（断熱材の役割を果たす）で作られた狭くて暖かい空間は、ネコが丸まってリラックスするにも最適です。
ネコは、そこで寝そべって、世の中を観察しているのです。
ペットとして家で飼われるようになってからのネコの特徴
面白いことに、50年ほど前までは、家でこのような奇妙なネコの運動能力を見ることはできなかったようです
これらの箱とじゃれあう行動は、ネコがペットとして家の中で飼われ始めた頃から見られるようになりました。
次にネコが箱から突然飛び出す様子を見れたら、それは、かなり印象的な狩猟の偉業であることを思い出してみてください。
ネコ科動物が日課として行う狩猟トレーニングを間近でみることができるなんて素晴らしい特権ですね。