二枚貝の貝殻の中には、驚きがいっぱい詰まっています。
みなさんは、二枚貝があしを外に出して、60cm以上も地中深くまで掘れることを知っていますか?
今回は、この器用に動くあしをはじめ、食事と呼吸を行うための水管、強力な筋肉、そして、ときには真珠まで作るという二枚貝の生態など、想像以上に多くのことが行われている貝殻の中の世界を紹介します。
カキやムール貝、ホタテ貝、アサリなどの二枚貝は、開閉できる2枚の貝殻に包まれた軟体動物の一種です。
大きさは数センチのものから、長さが1メートル以上になるものまでさまざまで、なかには世界最大といわれるオオシャコガイのように重さは250キログラムにもなる種もあります。
これらの二枚貝を近くでみると、以下のようにとても奇妙なことが起こっています。
2つの強力な筋肉「貝柱」
2枚の貝は強力な筋肉(閉殻筋)でしっかりと閉じているため、素手でこじ開けることはできません。いわゆる貝柱です。
2つの筋肉(以下の画像の黄色部分)が、殻の内側から、もう一方の殻まで続いており、貝が脅威や水の不足を感じたりすると収縮して殻を硬く閉じるのです。
そのため、貝を開けるには、物理的に貝の割れ目に切り込みを入れて、その筋肉を切り離す必要があります。
二枚貝は、死んでしまったり、この筋肉が弱ったりすると自然と開いてしまいます。これは左右の殻をくっつけている靭帯(じんたい)と呼ばれる組織が貝を開ける方向に常に働いているからです。
もちろん開いたままでは、無防備に食べられてしまうので、閉殻筋(貝柱)が殻を閉じています。
そしてなんといっても、2枚貝の「あし」ほど印象的なものはありません。
穴を掘り、移動にも使われる「あし」
貝は、あしを殻の外の地面に沿って押し出し、器用に使って穴を掘ります。
マテ貝においては、地下70cmの深さまで掘って地中にもぐることができます。
あしを素早く上下に動かして、地面を液状化して流砂にしたり、砂と海水を混ぜながら地面を柔らかくしたりして、10秒もあれば10cmほどの深さまで穴を掘り進める貝もいます。
水を吸い上げる水管
貝殻からにょきっと突き出た「水管」を見てみましょう。
2本のストローを束ねたような水管は、体を覆っている外套膜(がいとうまく)からなり、水を一方通行で流す種もあります。
一方のストロー(入水管)は、プランクトンや有機物の粒子と酸素を含んだ水を引き込み、もう一方のストロー(出水管)で老廃物を排出しているのです。
この水管がとても小さな貝もいれば、ミルガイのように、殻を閉じることができないほど大きい貝もいます。
貝は、水管のおかげで食事と呼吸ができるのです。
高度な技術をもつ貝
いくつかの貝は、効率的に栄養を得るためにより高度な戦術をさせました。
たとえば、ただ水中からエサを吸い上げるのではなく、自分でエサを養殖する貝です。
シャコ貝は、サンゴのように微細藻類との共生関係にあります。藻類に住む場所を提供する代わりに、藻類は糖などの光合成の副産物をシャコ貝に与えているのです。
さて、まれではありますが、貝の中に他の物が入っていることもあります。
真珠です。殻の中に侵入した異物や小石などの周りを膜層で取り囲んで取り除く、つまり、身を守るために真珠を形成する貝もいます。
まず、貝殻の内側にある外套膜の一部が剥げて異物を包むようにして真珠袋ができ、その中で真珠が形成されます。
二枚貝の魅力
それだけではありません。貝は、水中の有機物を吸い上げて、エラで漉すことで、天然のフィルターのような働きをし、湿地や湖、海などの環境をきれいにしているのです。
食べるとおいしいし、集めるのも楽しいし。貝って本当に魅力的な無脊椎動物ですね。