古くなった人工衛星はどうやって廃棄するの?

宇宙・航空科学

古くなり、役割を終えた人工衛星には、現段階で2つの選択肢があります。

燃やす」か「飛ばす」かです。

ここでは、古くなった人工衛星は、一体どこへ行き、どうなるのかについてみていきましょう。

1957年、世界で初めて人工衛星が打ち上げられて以来、すでに1万機以上もが打ち上げられています。

ただし、他の家電と同じように、人工衛星も永遠に使い続けられるわけではありません。

そうなると、そのまま宇宙のゴミとしてさまよい続け、他の衛星と衝突する危険があるので、現段階では以下の2つの方法で廃棄されています。

宇宙船の墓場で「燃やす」

まず、人工衛星がどれくらいの高さを回っているかによって、いくつかの選択肢が用意されています。

地球に近い衛星の場合、科学者たちは、まず、残り少なくなった燃料で人工衛星を減速させます。

そうすれば、人工衛星はどんどん落ちていき、軌道から外れて、地球の大気圏で燃え尽きるのです。

なぜなら、時速数千キロで地球の大気圏に突入するときに、人工衛星によって押しつぶされた空気の分子は、圧縮でお互いに勢いよく衝突しあって発熱するからです。
しかし、ときには、金属片がうまく燃えて消滅しなかったり、破片が残ってしまったりすることもあります。
それらが地球に落ちると大惨事になってしまうため、科学者らは、もし破片が落ちても問題のない場所に人工衛星を誘導して大気圏に突入させます。
この場所は「宇宙船の墓場(スペースクラフト・セメタリー)」と呼ばれ、陸地から最も離れた海の上にあります。

もっと遠くへ飛ばす

より高いところにある衛星の場合、地球の大気圏に突入するのに十分な速度まで減速させるには、大量の燃料が必要となります。

したがって、これらの衛星の場合、地球の軌道から外してさらに遠くの宇宙空間まで飛ばしてしまう方が、はるかに少ない燃料で済むのです。

これが「墓場軌道(はかばきどう)」と呼ばれるものです。

参照元:Where do Satellites go to Die?