鳥は、一日を通して、朝が一番にぎやかです。
生物学者らは、その理由を「メスにアピールするため」、「他のオスに力を誇示するため」、「声帯のウォーミングアップのため」だと考えています。
以下に、鳥が早朝に大きな声で鳴く傾向がある理由を調査した新しい研究をもとに紹介します。
早朝は音が遠くまで届きやすい
最初の理論は、早朝は静かな時間帯であるうえ、空気が1日の中で最も涼しく、最も乾燥していることに関係しています。
これにより、鳥の鳴き声が遠くまで伝わりやすくなり、以下の2つのことが達成されます。
まず、メスに近づこうとする他のオスに、近づかないように警告を送って追い払うこと。
第二に、遠く離れた場所にいるメスが、力強いオスの声に引き寄せられることが期待されます。
これは、オスの鳥がどれだけ強いかを鳴き声で示すためです。
朝の早い時間帯、鳥は健康的な朝食をとっていませんし、ウォーミングアップをする時間もありません。
それなのに大声で力強く歌うことができるなら、それは、そのポテンシャルを持ったオスが自分の力を他のオスに知らしめる絶好のチャンスとなるわけです。
自分の領土の強力な擁護者であるという明確なメッセージを他のオスの鳥に与えることを意味します。
日中に向けての鳴き声のウォーミングアップのため
さらに、デューク大学の生物学教授であるステファン・ノヴィッキ氏による新しい研究によると、オスの鳥は、午前中は鳴き声の練習と声帯の調整を行っていると示されています。
研究者らは、鳥が夜明け前にウォーミングアップのために、より大きな声で、より長く歌うことを確認しました。
研究で使われたヌマウタスヅメは、早朝に、くちばしを開け閉めして、器用に音の高低を切り替えたり、くちばしの動きや呼吸速度を変えたりしながら、難易度の高い方法で発声を調整していたのです。
実際に、ウォーミングアップ後は、鳴き声が良くなり、太陽が高く昇るころには音域の幅も狭く、簡単な発声のみになったといいます。
これについて、歌声のウォーミングアップが人間の歌い手と同じように鳥にも役立つかどうかは確かではありませんが、鳥の血流が改善し、体温を上げるのに役立つと考えられています。