シマウマに乗ったり家畜化したりできないのはなぜ?

キッズサイエンス

世の中にはゴキブリやグリズリーベアを飼っている人までいるようですが、シマウマは家畜化できないといわれています。

なぜなら、家族構成をもたないシマウマを家畜化したり、背中に乗ったりするには、その攻撃性や人間への敵対心、体の構造からして難しいからです。

実際に、ビクトリア朝時代にも、ヨーロッパの入植者たちがアフリカのシマウマを家畜化しようと試みて、数えきれないほどの失敗に終わっています。

では、シマウマを家畜化できない理由について以下にみていきましょう。

「飼いならす」と「家畜化」は違う

まず、飼いならすと家畜化は違います。

家畜化とは、人間が自分達の環境に適応させるために、野生種に遺伝的になんらかの修正を加えて繁殖を管理した血統種で、食料や住処などを人間に依存するようになった種です。

家畜化された動物には、馬や豚、牛や羊などがいます。

一方で、

飼いならすとは、条件付きで固体の行動を修正することです。

飼育下で動物を繁殖させることはできますが、それは永続的な遺伝的修正などは行われていないため真の家畜化とはいえません。

シマウマを家畜化する試みは失敗

シマウマとウマは約400万以上前に共通の祖先から分岐しました。

では、シマウマも馬の仲間であるなら、なぜ家畜化できないのでしょうか?

実際に、18世紀から19世紀にかけて、シマウマが荷馬車を引いたり、人を乗せたりしている写真が残されていますが、以下を理由にあまりのパフォーマンスが悪さから、後に家畜化への試みは放棄されています。

エドワード王朝時代のロンドンで、シマウマの馬車に乗って走り回っていたウォルター・ロスチャイルドをはじめ、シマウマの背中に乗って往診したロゼンド・リベイロ医師、シマウマに乗ってドーセットを走っていたビル・ターナーなどは例外中の例外といえるでしょう。

シマウマは危険

まず、シマウマの攻撃力です。

シマウマは、動物界でも際立つほど強いキック力を持っています。

そのキック力でライオンの顎を打ち砕き、倒したこともあるほど。

さらに、シマウマはとても強力な噛む力(咬合力:こうごうりょく)を持っていることで知られています。しかも一度噛むとなかなか離しません。

彼らが怒ると、人間はまず太刀打ちできないでしょう。

また、シマウマは、野生で絶えず捕食者に狙われているため、「戦うか逃げるか反応」を進化させ、わずかな危険の兆候にも飛び掛かれるように攻撃的になってきました。

捕まることに抵抗が強いうえ、人間に対しては、はるか昔から食用に狩られていたため、警戒心も強く敵対的な面ももちあわせているようです。

捕まえにくく、人や荷物を運びにくい

シマウマは優れたダッキング反射(反射的に頭を下げて相手の打撃を避ける)をもつため、投げ縄を使って捕獲したり、手綱を引いたりするのが馬に比べて難しい。

そもそも、シマウマの背中は、荷物や人間を運ぶようには進化していません。

シマウマの背は小さく、背骨も弱いため、人を長時間運ぶには適さないようです。

人間に非友好的

馬は、強い家族構成を持っているため、一家の長が捕らえられたら、残された家族は彼に従う傾向があります。

しかし、シマウマはそうではありません。

シマウマが群れをなすからといって、それが家族構成があることを意味するわけではないからです。

もし群れの一頭が捕まったとしても、残りは気にせず逃げていく傾向があります。

つまり、馬のような家族構成や上下関係(階層構造)をもたないため、トップに従う協調性も乏しく、なかなか家畜化できないようです。

実は、この社会的ヒエラルキーは、好き嫌いがないことやパニックを起こしにくいなど快活な性格と同じように、動物の家畜化に求められる重要な要素のひとつでもあります。

参照元:

Why were Zebras never Domesticated?
Why Don’t Humans Ride Zebras?