天気予報で「前線」という言葉をよく耳にしますが、それは一体何で、天気にどのような影響を与えるのでしょうか?
最も一般的な気象前線は、温暖前線、寒冷前線、閉塞前線の3つです。
さっそく以下に、前線について分かりやすく紹介しましょう。
前線とは
天気の特徴を「前線」と表現するようになったのは1919年まで遡ります。
ノルウェーの気象学者ヤコブ・ビヤークネスが、異なる2つの空気の塊の間にある壁を表現するために、これを戦争に例えたのが始まり。
彼は、前線の両側にある気団(大気の塊)を、第一次世界大戦の両軍が交戦する「戦場」の前線になぞらえたのです。
簡単に言えば、前線とは温度と湿度が異なる2つの気団の境界線であり、この境界線で気団が出会うときの反応が気温や天候に劇的な変化をもたらすことが多いのです。
暖かい空気は軽く、冷たい空気は重く、この2つの気団間の温度差が大きいほど、前線がもたらす天候は激しくなります。
温暖前線とは
天気図では、温暖前線は半円の実線で描かれ、しばしば赤に色付けされます。
半円の縁は暖かい空気の進行方向を示しています。
温暖前線が存在するということは、暖かい空気が地表の冷たい空気に取って代わることを意味します。
暖かい空気は冷たい空気よりも「軽い」、つまり密度が低く勢力も強くないため、入れ替わる冷たい空気の上を穏やかに上昇するのです。
この暖かく湿った空気は上昇を余儀なくされ、上空で冷えて雲を形成します。
このような雲は、まず地表の温暖前線から数百キロメートル前方の大気圏上空で見ることができるでしょう。
この雲は次第に厚くなり、温暖前線が近づくにつれて低くなります。
雨は前線が到着するずっと前から降り始め、温暖前線が近づくにつれて重くなり、前線が過ぎると気温は上がります。
温暖前線は、しばしば高気圧と関係しています。
寒冷前線とは
寒冷前線は天気図上では三角形で表示され、青色で表示されることが多い。
三角形の先端は、寒気の進行方向を示しています。通常、西から東へ、そして、空気の密度が高いため、温暖前線よりも速く移動します。
寒冷前線が存在するということは、冷たい空気が地表の暖かい空気に取って代わることを意味します。
冷たい空気は、入れ替わる暖かい空気よりも重い、つまり密度が高いため、入ってくる寒気は、暖かい空気の下にくさびのように押し込まれ、暖かい空気と前進する寒気の間に急勾配の境界を形成します。
すると、暖かい空気は進入する冷たい空気の上に急激に押し上げられ、積乱雲などの厚い雲の層を形成するのです。
このプロセスはしばしば低気圧と呼ばれ、激しい雨や雷雨をもたらします。
閉塞前線とは
閉塞前線は、寒冷前線や温暖前線よりも少し複雑です。
このような過程から、前線は温暖前線と寒冷前線の両方の特徴を備えています。
天気図では三角形と半円の実線で示され、紫色に着色されます。
閉塞前線は帯状の厚い雲と雨をもたらしますが、前線前後の天気の変化は温暖前線や寒冷前線ほどはっきりとはしません。
そして、この暖かい空気と冷たい空気の勢いが同じで、お互いに押し合って動かないような場合、それは「停滞前線」と呼ばれ、梅雨のように長雨が続きます。
実のところ、100年近く前から前線はほとんど変わらずに天気図に描かれています。
参照元:What are weather fronts and how do they affect our weather?