なぜジェットコースターは逆さになっても人が落ちないのか?

キッズサイエンス

ジェットコースターでは、高い所からほぼ真下に急降下したり、一回転して逆さまになったりしても人は落ちません。

これはいったいなぜでしょうか?

ジェットコースターには特別なシートベルトがあるから?

あるいは、ジェットコースターの車両そのものが線路にしっかりと固定されているから?

これらはたしかに重要な安全対策です。

しかし、実はシートベルトがない状態で逆さまになったとしても落ちないとしたらどうでしょう?

それだけでなく、ジェットコースターの車両自体も、たとえ線路に装着されていなかったとしても、おそらくコースから落ちることはありません。

では、どうしてジェットコースターではひっくり返っても落ちないのかについて、以下に、エンジニアのジェイ・フローレスさんによるアドバイスを紹介します。

物は重力で落ちる

ジェットコースターでは、線路がいろいろな形にねじれたり、くるくる回ったりしてひっくり返ります。

ちょっと考えてみてください。

水の入ったコップを逆さまにするとどうなるでしょうか?

全部こぼれますよね?

それは重力の力によるもので、おそらく皆さんも聞いたことがあるでしょう。

重力はすべてのものを地球に向かって引き下げます。

では、ジェットコースターも逆さまになるのに、人はどうやって重力に引っ張られて落ちずに、逆さまのままぶら下がっているのでしょうか?

実際にはシートベルトがなくても落ちない

では、実際にループになった道を走る車を見てみましょう。

車は、道路にくっついていませんが、落ちもしません。

なぜ頂上で落ちないのか?その答えを自分で確かめるのに役立つ実験がああります。

バケツの水を使った実験

取っ手のついたバケツに水を入れて、ジェットコースターのループのように、バケツをぐるっと回転してみてください。

速く回せば水は逆さまになっても落ちませんが、ゆっくり回すと水はこぼれてしまいます。

これは縄跳びみたいなものです。速く回すと、縄はぴんとはったまま頭上にありますが、ゆっくり回しすぎるとたれて落ちてきます。

これは、明らかにスピードが関係しています。

ジェットコースターもスピードが十分でなければ、人はバケツの水のように落ちてしまうでしょう

しかし、バケツに水を溜めておくスピードとは何なのでしょう?

水が重力によってバケツから引き出されないのはなぜでしょう?

バケツの水に働く遠心力

まず、バケツを回し始めると、水は前進し始め、バケツの底側に押しつけられます。

バケツを頭の上に振り上げる頃には、水はバケツの一番内側の底に押し付けられ、重力とは逆の方向に向かっていることがわかります。

この押し付ける力は「遠心力」と呼ばれ、物体が円の形に動いている場合に生まれる「中心からはなれようとする力」が働くからです。

このとき、重力が水を引っ張らないわけではありません。

重力はまだそこにあり、引っ張り続けています。

しかし、バケツを高速で回すと、水をバケツの内側に押し込む「遠心力」の方が重力よりも強いので、水は落ちないのです。

ゆっくりと回すと重力の方が遠心力よりも勝ってしまいますが、速く回せば回すほど、この押し込む力は強くなります。

ジェットコースターに乗ると、自分の体がシートに押し込まれるような感覚を覚えた経験はないでしょうか?

ジェットコースターでは、遠心力が重力よりも大きくなるようにデザインされているので、ひっくりかえっても落ちることはありません。

ジェットコースターが一回転して逆さまになっても落ちない理由は、以下の動画で確認できます。

Why don't people fall out of roller coasters when they go upside down?