タコは、「3つの心臓」と「青い血」、そして「9つの脳」をもつ不思議な生き物です。
動物の知能の目安として考えられている「体に対する脳の大きさの比率」は、無脊椎動物で最大。
9つの脳を持つといわれ、全身には、犬とほぼ同じ約5億個の神経細胞があり、その約3分の2は腕にあります。残りは、頭の中で食道のを囲うドーナツ型の中枢脳に。
そして、脳よりも多くの神経細胞が存在する8本の腕それぞれが「小さな脳」として(脳の制御を受けることなく)働くことができるのです。
以下に、タコには脳が9つあるといわれる理由について紹介します。
腕にある「小さな脳」の正体
タコの腕にあるニューロンは、実際の脳と相談することなく、独立して味を感じたり、触ったり、基本的な動作を制御したりするのに役立っています。
これによって、タコは、腕を使ってよりスピーディーに効果的に仕事を行えるのです。
このようなことから、タコには9つの脳があるように見えますが、実際には1つしかありません。
実際に、中枢脳は、8本の腕の神経系に命令を送り、トップダウンの制御を行うこともできます。
つまり、タコは、9つの脳のおかげで、ときには分権的、ときには集中的に自分の行動をコントロールしているのです。
タコは知能が高い
無脊椎動物で、道具を使うことができるのはタコとわずかな昆虫だけです。
以前、タコが「親切な」飼育員と「意地悪な」飼育員に対して異なる行動をとったり、お気に入りの飼育員に水をかけるいたずらをする様子を紹介しましたが、タコは人間の顔を含め、タコ以外の個体も認識できると考えらえています。
私たちの脳の1,000億個のニューロンと比較して、このタコの力は一見しただけではわかりませんが、未知の可能性を秘めているのかもしれません。