今回は、地球にある2つの極地「北極」と「南極」の違いについて分かりやすく紹介します。
どちらも極寒の地で、氷に覆われていますが、一体なにが違うのでしょうか?
北極は、ギリシャ語で「北」を意味するArktikosに由来。
そして、「南極」は「Antarktikos(北の反対)」に由来します。
地球の北半球の端に位置する北極は、周囲を陸地で囲まれた海です。
反対側にある南極は、周囲を海に囲まれた大陸。
北極にはホッキョクグマはいてもペンギンはいません。
一方で南極にはペンギンはいてもシロクマはいません。
以下に、知れば知るほどおもしろい南極と北極の違いについてもっと詳しくみていきましょう。
北極とは
北極地方は、広大な氷に覆われた海からなり、樹木のない永久凍土に囲まれています。
基本的に、北極圏と北極点の間の地域を指します。
もしあなたが北極点に立ったとしたら、どこを見ても、どの方向を見ても、南になります。
しかし、実際には、北極点に長い時間立っておくことは不可能なこと。
なぜなら、北極点は海の真ん中にあり、刻々と変化する凍った海氷に覆われているのですぐに流されてしまうからです。
北極点の海に落ちてしまったら、そのまま深さ4.26kmの海に沈んでしまいます。
水面上では、冬の平均気温は-40度まで下がります。ちなみに、過去の最低気温の記録は約-68度。
このように非常に厳しい環境にもかかわらず人間は何千年も前から北極圏に住んでいます。
北極圏には、動物プランクトンや植物プランクトンなど氷の中で生活する生物をはじめ、魚類、海洋哺乳類、鳥類、陸上の動物、植物、そして人間社会まであるのです。
南極とは
南極大陸は、地球の最南端にある大陸です。
地球上で5番目に大きな大陸で、オーストラリアの約2倍の大きさにもかかわらず、1895年までその地に足を踏み入れた人間はいませんでした。
この巨大な大陸は、何千年もの間うわさされてはいましたが、19世紀まで誰の目にも見られることがなかったのです。
南極大陸のほぼ98%は、厚さ1.6kmにもおよぶ氷に覆われています。
南極大陸は、世界で最も過酷な条件が備わった環境。
最も寒く、最も風が強く、最も乾燥した大陸であり、全大陸の中で最も平均標高が高い大陸。
とても寒そう。極地ではいつも雪が降っているんだろうな。
いいえ。南極は雨や雪のほとんど降らない乾燥地なのよ。まさに氷の砂漠そのもの。
年間の降水量は海岸沿いでわずか200ミリ、内陸部ではそれ以下です。
南極大陸の季節は、夏と冬の2つのみ。
毎年、夏には長時間日光が照り(真夏には太陽が1日24時間沈まない)、冬には太陽が全く登らないので長時間の暗闇がもたらされます。気温は摂氏-89度にもなります。
南極の生き物
あまりにも過酷で、行きつくのすら難しいため、南極大陸は人口がゼロの唯一の大陸です。どの国にも属さず、政府もありません。
南極大陸に点在する研究施設には、年間を通じて1,000から5,000人が滞在していますが、恒久的に住む人は誰もいません。
凍った大地は、「平和と科学に捧げられた自然保護区」として、軍事活動や採掘を禁止する国際条約によって守られています。
南極には、木や茂みはなく、このようなコケや地衣類、藻類、バクテリア、菌類、原生生物など、寒冷地に適応した生物のみが、極限状態の中生存しているのです。
南極の海域では、クジラや魚、イカ、軟体動物や無脊椎動物など多くの動物種に出くわすことはあるかもしれませんが、大陸では会えてもペンギンや海鳥、アザラシくらいでしょう。
なぜ南極大陸は北極に比べて寒いのか?
まず、南極大陸の大部分は海抜3キロ以上の高地にあり、標高が高いほど気温は下がります。富士山のような高い山の頂に雪が積もるのはそのためです。
第二に、北極圏は実際には凍った海であることを忘れないでください。
氷の下にある海水は、南極の凍った地面よりも暖かく、その暖かさが氷床を通して伝わっているのです。
そのため、北極圏の気温は、南極大陸のような極端な気温にはなりません。
三つ目は、季節が南極に不利に働いていることです。
地球が太陽から最も遠くにある7月には、南極は冬になり、ダブルパンチで寒さが襲いかかります。
地球にとってなくてはならない存在「北極」と「南極」
しかし、北極点と南極点があるからこそ、この地球は成り立っているのです。
両方の極地は、気候をコントロールする重要な役割を担っています。
温帯地域の気温を下げ、安定した天候をもたらしているのです。
そのため、気候変動により北極の海氷が減少すると、地球全体の天候が不安定になっていきます。