まず、カメレオンは、周囲の景色に溶け込む(擬態)のために体の色を変えているのではありません。
カメレオンは、体温を調節するためや、他のカメレオンに感情を表現するために色を変えます。
以下に、カメレオンがどのようにして体の色を変化させているのかを見ていきましょう。
カメレオンの体の色が変わる仕組み
カメレオンの皮膚には、外側から順に、黄色、赤色、虹色、暗い色のメラニンなどの「色素胞」と呼ばれる様々な色素細胞をもつ層があります。
色素胞の下には、さまざまな大きさや形状をしたナノ結晶(直径が10億分の1メートル単位の極小の粒)があり、それぞれの間隔が変化すると皮膚の色や模様が変わる仕組みです。
これらのナノ結晶には、反射小板と呼ばれる光を反射する小器官があります。
カメレオンは、神経の刺激によって細胞を収縮、またはゆるめることで、これらのナノ結晶の間隔を変化させて光を反射し、さまざまな色素胞の層と組み合わせながら反応させることで、体色の変化を引き起こしています。
コミュニケーション手段として色を変える
カメレオンがリラックスすると、ナノ結晶はお互いに近くなります。
この場合、外からの様々な色からなる光がナノ結晶に当たると、青、藍などの波長を反射します。
この青色の光は、皮膚の外側にある黄色の色素胞と一緒に反射して、カメレオンを緑色に見せます。
しかし、カメレオンが興奮したり、繁殖シーズンになったりすると、ナノ結晶の間隔が広がり、赤やオレンジなどの目立つ色の波長を反射します。
この場合、赤い光と黄色の色素胞が組み合わさって、カメレオンはよりオレンジ色に見えます。
恐怖を感じると、黒っぽい色素胞が他の色を取り囲むようにして広がり、体を暗い色に変えます。
さらに、カメレオンは気分の変化だけでなく、外からの光、熱に反応して体温調節をすることも分かっています。
体温調節のために色を変える
カメレオンは、熱を自分で作り出すことはできず、外部の温度によって体温が変化する変温動物です。
そのため、体の色の変化は、体温を調節する役割もあります。
気温が低いところでは、体の色を暗くして光や熱を吸収しやすくしたり、暑いときには、太陽の光を反射して熱がこもりにくくするために明るい色に変化したりするのです。