掃除における最大の謎の一つは、扇風機やシーリングファンではないでしょうか?
普段使っている扇風機やシーリングファンは、高速回転しているにもかかわらず、なぜほこりの層ができるのか不思議に思う人も多いはず。
そもそも扇風機のはねは、空気に風を送ってるだけだよね。
それなら、ファンのはねの動きでほこりが部屋に戻ってくるだけじゃないの?
たしかにみなさんがそう推測されるのは当然です。
どうやらこの奇妙な現象を理解するには、ほこりの組成と、電磁気学と流体力学の基礎をいくつか学ぶ必要がありそうです。
以下に、扇風機のはねに秘められたとても興味深い科学をわかりやすく紹介します。
ほこりの塊ができる理由
好むと好まざるとにかかわらず、家の中のほこりの大部分は、人間の死んだ皮膚細胞と毛髪細胞でできています。
私たちの体は常に皮膚細胞を再生しており、毎日何千もの細胞が脱落し、これが空気中に浮遊する無数の微細な埃粒子の原因となっているのです。
そして、それらのほこりが家の中はどこであっても常に循環しています。
ペットを飼っている場合、この問題はさらに深刻化します。
ほこりのごく一部は、皮膚や毛髪細胞を餌とするダニによって排出される微粒子ですが、主な発生源は私たち自身の体です。
そして、これらほこりの一般的な受け皿となっているのがプラスチック製の扇風機。
なぜなら、ほこりの分子と扇風機の関係において、決して無視できない電気の役割が存在するからです。
家の中を漂うほこりの粒子は一種の電荷を帯びており、これらの分子が引き寄せられる傾向があります。
これが、ベッドの下に隠れているホコリの塊を生み出すのです。
はねと空気の「摩擦と静電気の作用」
扇風機のはねは空気中を高速で回転し、空気中の分子に接触して押しのけています。
この動作により、扇風機のはねの先端に電荷が蓄積され、静電気が発生します。
ほこりの分子は空気中を漂う際にこの帯電した先端に接触すると、そこに引き寄せられ、静電気が発生します。
その後、摩擦によりファンブレードの先端部に付着します。
このように扇風機の先端は、最も電荷を帯びているため、最も多くのほこりが集まる場所となっているのです。
これにほこり粒子の粘着性と、ファンブレードに形成されるかなりの量のほこり層が加わると、より理にかなった現象が起こります。
しかし、この理論は、プラスチック製のシーリングファンに付着するほこりについてのみ説明を提供します。
あらゆる種類のファンが、材質に関係なくほこりを吸い寄せる理由を理解するには、別の科学分野である流体力学が必要です。
たとえば、静電気の蓄積はプラスチック製ファンに当てはまりますが、金属製ファンでは発生しません。
それにも関わらず、金属の先端部にもほこりが目立って集まるのはなぜなのでしょう。
ここで流体力学の出番です。
はねの表面の空気は止まっている
流体力学は、液体と気体の運動を研究する学問です。
これを扇風機やシーリングファンに適用すると、はね表面(境界)での空気速度はゼロになります。
そして、はねの表面から離れるにつれて、空気の速度と動きは増加します。
まず、ファンの羽根が回転すると空気がかき混ぜられて気流が生まれます。
はねの先端は、表面のすぐ上にある薄い不活性な空気の層によって保護されています。
時間の経過とともにほこりが積もると、それが新たな表面となり、かなりの量が蓄積されていくのです。
さらにファンの速度は、この流体力学の法則を変えません。
ファンの回転速度が速いほど、はねがより多くのほこりの粒子と相互作用するためにほこりの集塵速度は速くなります。
このようにして、部屋のはねの素材によって異なりはしますが、ほこりの集塵は、様々な自然の力によって引き起こされていることがわかります。
いずれにせよ、すべての扇風機やシーリングファンは、回転速度に関係なく、流体力学または静電気の影響でほこりを吸い寄せる運命にあります。
扇風機のほこりはなぜ発生し、たまっていくのかについては、以下の動画で見ることができます。