自然科学・地球科学

ボートがつくる波は、なぜ三角の形をしているのか?

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船やカヤックの後ろにできる航跡、さらには、水上を行くカモの親子の後を見ると、2つの奇妙な点に気づくかもしれません。

第一に、その航跡は単純なものではありません。

それは、この投射体が作る完全に真っ直ぐな衝撃波のようなもの

とは異なり、羽のような、さざ波のような不思議な模様をしています。

そして第二に、その模様は、――アヒル、カヤック、船、いずれによって作られたものであっても、ほぼ同じように見えます。

それらはすべて、移動速度も、波の大きさも異なるにもかかわらず、中央には同じような逆弧(逆三角)、そして、同じ角度、縁に沿って繰り返される同じ波紋のパターンからなります。

実は、水の航跡が常にこの特定の形や模様をつくる理由は、水波の驚くべき物理的性質によるものです。

波は波長の長さで伝わる速度も異なる

光波には一定の速度(秒速約30万km)があり、音波にも(標準的な条件下で)一定の速度( 秒速約331.5m)がありますが、水波には単一的な速度がありません。

水中では、波長が長い波ほど速く伝わり、波長が短い波ほど遅く伝わります。

波長が異なる波が異なる速度で伝わるこの現象は、「分散(波の広がり)」として知られており、波を興味深くも複雑なものにしています。

ボートの航跡もその一例です。

ボートの航跡は円形の波の連なり

ボートの航跡の形を説明するために、まずは一つの水波の波長(および速度)について見ていきましょう。

この単純な水面を航行するボートは、一連の円形の波を生み出します。波の速度がボートより速い場合、波はボートを囲みますが、航跡は生まれません。

波の速度がボートより遅い場合、ボートは波より速く進むため、円形の波がすべて重なり合ってV字型の航跡を形成します。

さらに波の速度が遅い場合、船は波をさらに追い抜き、それらの円波が重なり合って、より細いV字形の航跡を形成します。

波の速度が遅いほど、航跡は細くなります。

波の速度が速いほど、航跡は広くなります。

しかし、水にできる波は「波」、つまり繰り返されるものであることを忘れてはなりません。

波の速さで航跡の間隔は異なる

したがって、すべての円波は、実際には、一連の円波の最初の波にすぎません。

つまり、移動するボートがまっすぐで単一なV字型の航跡を作らない理由は、1つではなく、たくさんの円波がそれぞれに正確に1波長間隔で並んだV字型の航跡の列を作り出しているからなのです。

そして、分散現象により、波長が異なると、波が伝わる速度も異なります。

先述した通り、

波の波長が長いほど、速く伝わります。

波長が短いものほど、遅く伝わります。

速い波はより幅の広い航跡を作り出し、速い波は波長も長いため、1波長における航跡の間隔も広くなります。

同様に、遅い波はより幅の狭い航跡を作り出し、遅い波は波長も短いため、航跡の間隔も狭く密集したものになります。

幅が狭く間隔の狭い航跡、幅が広く間隔の広い航跡、さらにはもっと幅が広く、間隔も広い航跡などを組み合わせると、ほら!ボートの航跡の形が完成します!

ご覧ください。外縁にある美しく繰り返される羽毛のような波紋や、

航跡の内部に見られる幅の広い繰り返しの弧。

これらの鋭い線を、適切な角度と間隔で滑らかな波に置き換えると、さらに説得力のあるボートの航跡が得られます。

そして、これを3Dでも同様に再現することで、とてもリアルなボートの航跡を作り出すことができます。

航跡は水の波が異なる速度で伝わることが原因で形成

つまり、要約すると、航跡がこのような形をしているのは、水の波が異なる速度で伝わるためです。

速度の遅い水波は、狭く間隔の詰まったV字型の航跡を作り出し、速度の速い水波は間隔が広く、互いに離れたV字型の航跡を作り出します。

これらのさまざまなV字型のパターンをすべて組み合わせ、水の分散関係によって決定される適切な角度と間隔で配置すると、水の流れによる航跡の独特な形状ができ上がるのです。

ボートが作る独特な三角形の波については、以下の動画で見ることができます。

Why Do Boats Make This Shape?