海はどんどん塩辛くなっているのか?気候変動に影響を与える塩分濃度

キッズサイエンス

なぜ海は塩辛いの?

これは、「なぜ空は青いの?」 に続いて、子供がよくする質問のひとつです。

その答えは比較的簡単です。

海が塩辛いのは、雨が岩石から塩分を浸食し、川がその塩分を海に運び、そこに蓄積させるから

今日、海から1キログラムの海水を採取して蒸発させると、約35グラムのこれらの塩類が残ります。

地球上では、毎年40億トンもの塩が川から海に流れ込んでいるのです。

しかし、その後、海から水分が蒸発して雨に戻るとき、塩分は持っていかれません。

それなら、川から運ばれた塩分は追加され続けることで、年々海は塩辛くなっているの?

たしかにそうよね。でも海水の濃度はほとんど変わることがないのよ。

今回は、なぜ海水はどんどん塩辛くなっていかないのかについて、海の塩分濃度の仕組みをもとに科学的に分かりやすく紹介します。

実のところ、この海が塩辛いことについての単純な質問とその答えは、もっと興味深い気候変動の問題に大きな影響を与えているのです。

海の塩分とは

海の塩分のほとんどは、塩素とナトリウムが結びついた塩化ナトリウムで、それは私たちが食卓で使う食塩と同じものです。

また、海には他にもマグネシウムイオン、硫酸イオン、カルシウムイオン、カリウムイオンなども含まれており、これらも化学的には「塩」として扱われています。

海はどんどん塩辛くなっていくのか?

川が毎年これだけの塩分を追加しているのだから、年々海は塩分濃度が高くなっているのでしょうか?

かつて、科学者たちは本当にそう考えていました。

彗星が、太陽のまわりを公転していることを発見したエドモンド・ハレーもその一人で、彼は、その考えをもとに1715年、海とそこに流れ込む川の塩分濃度の差から、地球の年齢を計算することを提案しました。

たしかにこれは賢いアイデアです。

川が毎年少しずつ海に塩分を加えているのであれば、新鮮な海が最初にできたのはいつなのかをさかのぼって計算することができるはずです。

この計算では、地球の海、少なくとも彼が調べた海は、2,500万年から1億5,000万年の間にできたということになりました。

しかし、彗星の再来を予言し、ハレー彗星の名前にもなるなど、多くの素晴らしい功績を残した天文学者に敬意を表したとしても、私たちはこの海の年齢が間違っていることを知っています。

海の塩分は追加されるとともに、取り除かれている

他の多くの証拠から、地球はもっと古く、約45億年前に形成されたことが分かっています。

海は38億年前までに形成され、初期の海は実は今よりも塩分濃度が濃かったという説もあります。

問題は、エドモンド・ハレーの計算が、海から塩を取り除かれる方法を考慮していないことです。

海の塩のサイクル

海水への塩分の供給と排出は釣り合っている

実のところ、海水の塩分濃度は釣り合っています。

河川のように塩を海に追加する供給源と、塩を取り除く吸収源は釣り合いがとれているのです。

蒸発による海洋塩分の排出

例えば、塩分を含んだ水が、太陽による熱で干上がりってできた塩類平原、塩でできた蒸発岩のような沈殿物です。

これは塩原とも呼ばれ、ある海域が他の海域から切り離され、流れ込む水の量が減ることで、水が蒸発して塩田が残ったときにできるものです。

実際に、約550万年前、地中海は地球上の他の海域から切り離されて、ほぼ完全に干上がりました。

それによって、世界の海の塩分の約10%が失われたといわれています。

その後、地中海は回復しましたが、現在では死海が同じような役割を担っています。

熱水噴出孔によって取り除かれる塩分

また、熱水噴出孔の影響もあります。

海水がマグマ近くの岩石を通過する際に加熱され、化学反応を起こして海水からマグネシウムや硫酸塩(これも塩類)が取り除かれるのです。

しかし、海の塩分の総量は、毎年追加されたり除去されたりする量に比べて多いので、全体のバランスはかなり安定しています。

たしかに海は川よりも塩分が高い状態が続きますが、時間が経ってもそれほど塩分濃度が高くなることはありません。実際に、10億年前から、海の塩分濃度はほとんど変わっていないといわれています。

世界中どの海でも塩分濃度が同じではない

ただし、塩分濃度は時間とともに場所によって変化する可能性はあります。

それは、塩分濃度が水に含まれる塩分の量であるため、水の量を変えれば塩分濃度を変えることができるからです。

平均的な海の塩分濃度は、34.7ppt(1000g中に塩分34.7g)ですが、水の蒸発が激しい紅海(40ppt)や地中海(38ppt)は高めで塩辛く、黒海は18ppt、たくさんの川から水が流れるバルト海は8pptと低めです。

海域によって塩分濃度にばらつきがある

海域によって塩分濃度にばらつきがある理由

雨は新鮮な水を加えます。

モンスーンのような激しいは、近くの海の塩分濃度を下げるなど大きな影響を与えることがあります。

また、蒸発によって水が奪われ、特定の地域の塩分濃度が高くなることもあります。

も大きな要因になります。

海水が凍って氷になると、氷の結晶構造に塩がおさまらないために、塩は排出される(塩水拒絶反応と呼ばれる)プロセスによって、直下の海には塩分が放出されます。

海氷が形成されると塩分濃度が上昇し、逆に氷が溶けると塩分の低い水が放出されるので塩分濃度が低下するのです。

これらのプロセスはすべて海の表面で起こるので、水面から200メートルほどの塩分濃度に影響を与えます。

これらをすべて足し合わせると、いくつかの地球規模でのパターンが見えてきます。

赤道に近いほど海水温は高く、蒸発率も高いため、表層海水の塩分濃度は高くなります。

例外は赤道付近で、このエリアでは雨が多く塩分濃度が低くなります。

このように、海全体の塩分濃度は比較的一定であっても、小さな変動は海や世界の水循環について多くのことを教えてくれるのです。

また、気候変動はすでに塩分濃度に影響を及ぼしています。

研究者たちは、海の中で最も塩分の高い場所はより塩辛くなり、最も塩分濃度の低いがより低くなっていることに気づいています。

気候変動が海の塩分濃度に及ぼす影響

これは、地球全体として、蒸発量と降水量の両方が増加していること、つまり、陸上での干ばつや洪水がより激しくなることを意味します。

海の塩分濃度が地球の気候変動に与える影響

塩分濃度自体も、気候に直接影響を与えます。

海水の密度を決定する主な要因は、塩分と温度です。

密度の高い水は重いため、当然ながら海の底に沈みます。この海水の動きは、地球規模での海水の循環(海洋のコンベアベルト)を促し、地球強の熱エネルギーの流れに大きな影響を与えます。

この循環現象は、地球の気候につながります。

つまり、海全体の塩分濃度のパターンを理解し、それがどのように変化しているかを知ることは非常に重要なのです。

地球全体の塩分濃度を調査して気候変動を予測する試み

そこで、2011年にNASAが打ち上げたのが、宇宙から海の表面の塩分濃度を測定できる衛星「アクエリアス」です。

この探査機は、1週間におよぶ地球全体の塩分濃度を調査することができます。

つまり、水循環がどのように変化しているかを追跡し、それが気候にどのように影響するかを予測するためのより良いモデルを構築することができるようになるのです。

「なぜ海水の塩分濃度は高くなり続けないのか」から分かるさまざまなこと

いかがでしたか?

子供の「なぜ海の水は塩辛いの?」から一歩進んで、「なぜ海水の塩分濃度は高くなり続けないのか」という質問まで考えていくと、気候危機の影響を理解し、監視するための新しい方法を手に入れることにつながりました。

科学はいつも当たり前のような疑問からはじまり、それがあらゆる問題の解決策の糸口となっているようです。

あなたも身の周りのちょっとした疑問を調べてみませんか?