今までに、古代ローマの遺跡を見て、どのようにして建造物の多くが、2000年もの長い間建ち続けているのか疑問に思ったことはありませんか?それらの遺跡のいくつかは、まだ優れた状態で残されています。
実のところ、古代ローマのコンクリートは、現代のものよりも頑丈であることが近年の研究によって分かってきました。
どうやら、古代ローマのコンクリートは、 特別な製法で作られているようです。
ここでは、過去10年にわたる研究によって科学者たちが発見した「古代ローマの建造物の強さの秘密」について、コンクリートの作り方やそれがもたらすメリットを中心に分かりやすく紹介します。
古代ローマ遺跡に使われているコンクリートの製造方法の秘密
古代ローマ遺跡に使われているコンクリートは、現代のものとは全く異なる製造方法によって作られています。
材料
主な材料は、石灰岩と水、そして火山灰です。
作り方
まず、石灰岩を加熱して、生石灰を生成します。
それに、水と火山灰を加え、補強のためにレンガや火山岩の塊を混ぜ合わせた後、そのまま180日間おきます。
この混合物が長い月日をかけて安定していくうちに、ストラトリンジャイト(アルミナセメント:C2ASH8)と呼ばれる結晶が生じます。この特別な結晶が、今日のコンクリートには欠けているといわれています。
さらに、古代のコンクリートは、現代のものと比べると2つの大きなメリットをもっています。
古代ローマ時代のコンクリートがもたらすメリット
ひとつめは、ひび割れがちな部位の補強や強化に優れていること。
そして、もう一つは、より長い時間、コンクリートの腐蝕に耐える能力です。
それだけではありません。
なんと、古代ローマの建造物は、時間とともにより強固になるというのです。驚くべきことに、何百年もの間、海水に水没していた建造物の壁は、フィルターとして働きながら、海水からミネラル物質を形成し、コンクリート全体を強化しています。
これらの建造物は、外洋から港を守る役割を果たしてきました。ナポリ湾に面したイタリアのカンパニア州の都市、ポッツォーリ(Pozzuoli)には、現在もそういった建造物が残されています。
もし、あなたが次にイタリアを訪れる機会があるなら、ぜひ異なった視点で遺跡を見て楽しめるかもしれませんね。