神風特別攻撃隊(かみかぜとくべつこうげきたい)。
それは、「カミカゼ」や「シンプウ」という名で知られ、爆弾をつんだ飛行機ごと敵艦につっこむ部隊。
彼らは、自らの命を犠牲にし、飛行機ごと敵国の船に体当たりして損害を与えるという片道の任務を負っていました。
つまり、神風特攻隊員たちにとっての「成功」は、「死」を意味します。
では、誰にも戻ってくることを期待されていないはずのパイロットたちが、なぜ保護用のヘルメットを被っていたのでしょうか。
その答えは複雑ですが、特攻隊員たちを守るためのヘルメットではなく、任務遂行という1つの目的のために用意されたものでした。
今回は、飛行機事故でヘルメットが何の役に立つのかをもとに、神風特攻隊のパイロットらが被っていたヘルメットのナゾを紹介します。
ヘルメットが何の役に立つのか
飛行機事故では、爆発する鉄の塊や火の玉の中で地に墜落した場合、頭をプラスチック製のヘルメットで覆ってもあまり役には立ちません。
それどころか、神風特攻隊員が被っていたヘルメットは、頭と耳を覆うだけの革製の帽子のようなもので、事故からパイロットを守るものとは程遠いものでした。
なぜなら、特攻隊のヘルメットは、飛行中の彼らを保護するために設計されたものだったからです。
飛行中の特攻隊員を保護するためのヘルメット
飛行機で高高度を飛行すると、上空は酷く冷え込みだけでなく、耳をつんざくような騒音が発生することがあります。
特に、日本軍のパイロットは、視界確保のためにコックピットを開けて飛行することもあったため、その際に凍えるような強風が吹き付けていました。
その影響は、どのような形で出るのでしょうか。
まず、特攻隊員は、寒さで気を失う可能性があります。
そうなると、コックピットに頭をぶつけてケガをしたり、誤って仲間の機体に衝突したり、目標物を間違えて体当たりしたりする恐れがあるのです。
それでは任務を遂行できなくなってしまうので、用意されたのがヘルメット。
つまり、神風特攻隊員たちのヘルメットは、パイロットを守るためのものではなく、任務遂行を目的としたものだったようです。
特攻隊員の現実
戦争が長引くにつれて、日本軍の燃料は不足していきました。
すると燃料を削減しながら遠くまで飛ぶために、特攻隊員らの乗る飛行機は軽量化が進みます。
特攻任務では、3800人以上もの未来ある若者の命が、国や家族を守るために犠牲になりました。
実際には、彼らのほとんどが、敵艦に近づくことさえできずに、無残にも敵に撃ち落されています。
特攻作戦は、本来の目的である航空母艦にはかすり傷一つ与えることはできず、ほとんど成果を上げることはありませんでした。
桜花特別攻撃隊
「THE COCKPIT ザ・コクピット」というアニメ作品をご存知でしょうか?
第二次世界大戦中、飛行機から、有人ロケット兵器を落として体当たりさせる桜花特別攻撃隊を描いた作品です。
これは、「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」などを生み出した松本零士の原作をアニメ界の鬼才たちが映像化したもの。
Vol.2 音速雷撃隊では、特攻隊とは何かについて、部下を人間爆弾として投下する母機のパイロットの視点でも描かれています。
桜花による合計10度に渡る出撃の結果、桜花パイロット55名が特攻で戦死、その母機の搭乗員は365名が戦死した。