みなさんは、世界の人口は増加し続けていると思っているかもしれませんが、実はすでに地球規模で人口が減少に転じることが懸念されています。
数十年前、専門家たちは人口過剰に警戒を促しはじめました。
1800年に10億人、1900年に20億人、1980年代には50億人を超えるなど、人類は飛躍的に増加していたからです。
このままでは、数十年のうちに、エネルギー資源や食料などあらゆる資源が枯渇し、人類の文明は大きな問題に直面することになってしまうからです。
しかし、専門家たちが予測した終末のシナリオはいまだに起きてはいません。そして、これからも起きない可能性が高くなりました。
それどころか世界規模での人口減少問題は避けられないとの懸念が大きくなったようです。
その理由は以下にあります。
なぜ「人口爆発」は起こらないのか?
人口爆弾を解除した大きな要因は、人々が以前ほど多くの子供を産まなくなったことだと考えられています。
その理由は主に2つあります。
貧困層の減少
第一に、世界の最貧困層はそれほど貧しくなくなっています。
ほんの半世紀前(1970年代)、地球上の半分の家庭は1日に数百円程度の収入しかありませんでした。
現在では、そのような家庭はわずか10%にすぎません。
そして、1日数百円以上稼いでいる家庭は、子供をたくさん産むことによる恩恵が少なく、子供を何人産むかをより自由にコントロールできることを学び始めたのです。
その結果、貧しい家庭が5人の子供を持つのに比べて、1日数百円以上の家庭は平均して2人の子供を持つようになりました。
この貧困の減少だけで、平均的な家庭の子供の数は以前より1.3人少なくなっていることになります。
女性の教育水準が向上
第二に、女性の教育水準が向上していることです。
過去数十年の間に、女児は平均して7年間しか学校に通わなかったのが、11年以上通うようになりました。
そして、学校で長く教養を積んだ女の子は、結婚が遅くなる傾向があり、家庭を築くのも遅くなり、一般的に子供の数が少なくなることが分かっています。
いくつかの研究によると、女児が学校に通う年数が4年増えるごとに、出産する子どもの数が1人減るそうです。
出生率の減少
ただし、今お話ししたような計算を実際にやってみると、
4.5(昔の1家庭あたりの出産数)-1.3(1日数百円以上の家庭の子供の数への影響)-1(4年多く学校に通う女性の出産数の減少による影響)=2.2人
となり、数字のつじつまが合わないことがわかります。
人々の実際の平均出産数は2.4人で、この2つの傾向の組み合わせが示唆する(2.2人)ほど低くはないのです。
たしかに、貧困から抜け出した女性の中には、教育水準が向上している人もいます。それぞれの効果を分けて考えるのがとても難しく、これらの傾向が重なっている場合もあってとても複雑なのです。
人口不足への警鐘
地球上の人口が実際に減少するような転換点にはまだ達していません。
しかし、極度の貧困状態にある人が減少し、多くの女性が十分な教育を受けられている地域では、すでに人口の減少が始まっているのです。
この2つの傾向がさらに数十年続けば、地球の人口もそれに追随するはずです。
そのため、一部の専門家は現在、人口不足に警鐘を鳴らしています。
働いてお金を使う人が減ることで、世界経済が破綻し、人口過剰の危機と同じような混乱に陥ることを懸念しているのです。
しかし、なかには、世界経済が縮小しても世界人口の縮小が早ければ問題ないと考えている専門家もいます。
結局のところ、それは平均して、誰もがより多くのお金を持っていることを意味します。
どうやら将来的にどうなるかは、専門家の意見に任せたほうがよさそうです。
いずれにせよ、私たちは人口爆発に向かっているわけではないようですし、それが爆弾であることは誰もが同意するところでしょう。