よく食品の袋の中に入っている「食べてはいけません」と書かれた袋。
これには水分の吸着能力の高いシリカゲルが含まれています。
シリカゲルとは、二酸化ケイ素の一種。
シリカゲルは、食品の他、革製品といった湿気によって傷みやすいものと一緒に梱包され、食品や革製品の乾燥状態を維持し、安全に保つ助けとなります。
ここでのポイントは、水分を吸収するのではなく、吸着するという点。
以下に、シリカゲルがどのようにして湿気から食品や革製品などを守っているのかに、吸着の仕組みをもとに紹介します。
吸着力が優れたシリカゲル
さて、シリカゲルの表面には何百万もの目には見えない細かな孔(あな)が形成されています。
湿気が少ないうちは、主に水素結合によって水分を捕らえます(化学的吸着)が、多くなってくると、この小さな孔が大活躍し始めます。
シリカゲルにある無数の小さな孔に水分が入り込むと、毛細血管現象を引き起こすからです。
毛細血管現象とは
水分子にはお互いにくっつく力(凝集性)が働いていますが、狭い所に吸い寄せられる性質もあります。
コップの水の中に細い管を立てると、水が管の壁を上るようにして管の中の水面がまわりの水面よりも高くなる現象が起こります。
毛細血管現象は、身近な例でいうと、コップにストローを立てたときや、こぼれた水をふきんでふき取るときなどに見られます。
水に布や紙が触れると、繊維の隙間がこの細い管の役割をして毛細血管現象が起き、水が吸い上げられて布や紙が濡れていくのです。
このように、水が、細かな孔に(物理的に)吸着される現象を「毛細血管現象」といいます。
革製品や包装された食品のまわりに湿気がある場合、この多孔質なシリカゲルが水分を引き付けてその表面に保持し、製品の腐敗を防ぐのです。