クロールで腕を曲げて泳ぐ(ハイエルボー)ストロークの練習方法

クロールで腕を曲げて泳ぐストロークの練習方法水泳教室

クロールで腕を伸ばしたままストロークをすることのデメリットを理解し、「ハイ エルボー(肘を高く上げた)」ストロークのメリットや練習方法をiSportより紹介します。

クロールのストロークでの腕の曲げ方(ハイエルボー)をマスターすると、力強く水をかけるようになり、推進力が上がります。特に長距離を泳ぐ場合は大切です。

なぜなら、腕を伸ばしたままでは、クロールのプル(ストロークの水を後方に引く動作)で水の深い位置までかくようになり、水の抵抗が増えるので腕や肩への負担が大きくなってしまうからです。

さらに、まっすぐ伸ばした腕で泳ぐと、体を傾けるのが難しくなるため、肩の腱板を傷めやすくなります。実際に、肩の腱鞘炎(けんしょうえん)は水泳選手でよくあるケガのひとつ。

これらの肩への負担を改善するには、まずクロールのリカバリー時に肘を曲げるように試みてください。それによって自然とクロールのプルも強化されていきます。

リカバリとプルの腕の動きの練習方法

  1. 壁を蹴ってスタートし、体を傾けて右向きでバタ足をします。このとき、左腕は前方に伸ばし、反対の腕は体側で休ませます。
  2. 腕はリカバリー(ストロークで後方から前方に戻す動き)からゆっくりと始めます。手の甲で水面近くの水を後方に引きながら、指先はプールの底に向け肘は空に向けて高く上げます。この時、腕はリラックスして大きく振り回さないで、できる限り体の側を一直線に通すことを心がけてください。
  3. 前方で水に指先が入ったら腕を伸ばします。
  4. 反対側の腕を引きながら、反対側へ体を回転(傾け)します。
  5. プルで肘を曲げ、前腕で水をつかむようにします。樽を脇の下に抱え込むようなイメージで行うと曲げやすいでしょう。プルの手がお尻を通ったら、水を後ろに押し出して再びリカバリの動きになります。

プッシュでは、水を押すのではなく、水を離すように水面から手を出します。

6秒毎に左右交互に行う。

このように、リカバリーとプルに重点を置いた練習を行うと、腕が曲がるクロールのコツをつかみやすくなります。

手でかく動きに問題があるような時は、水かき(パドル)をつけて練習してみましょう。水を受け止める時の感覚がつかみやすいため、問題点を把握しやすくなります。

ハイエルボーができるようになると、次は、手から前腕にかけての腕の使い方を学ぶ「アーリーキャッチ」の練習にステップアップしてください。

腕を曲げるクロールのポイント

  • 体を傾ける
  • リカバリの手は、水面近くをキープさせる。腕を外に広げないで体に近い位置を保つ。
  • 肘を高くする
  • 腕の動きも、体の一直線のラインで行えるようにする。
  • 反対の腕は、前に伸ばしたまま

腕を曲げたストロークの練習方法を動画で見る

How to Swim Bent-arm Freestyle

クロールのハイエルボーでよくある間違いと改善方法

クロールで腕をリカバリーするときに、手を体に近づけすぎたり、手の位置があまりにも低すぎたりすると、肩の動きが制限されてストロークがとても窮屈なものになってしまいます。

これは、名だたる水泳選手やジュニアスイマーらのように、胸部から肩にかけて高い柔軟性と可動性を持ちあわせている場合なら有効ではありますが、体が硬い人が同じように試みたとき、肩の動きがつっかえてしまい、最終的にはバランスや姿勢を崩すか、または、肩の動きがあるべき位置よりも低く制限されてしまいます。

その場合、手の位置を少し外側にしてリカバリーすることで、肩の動きへの制限がなくなると、リカバリーで一番高い位置の動きがスムーズに、そして、よりリラックスしたクロールができるので、自然とストロークのテンポや泳ぎ自体が速くなります。

参照元:https://youtu.be/YNKijYh4LNw

ケイティ・レデッキーのストローク

以下のケイティ・レデッキーの泳ぎをみると、リカバリーの際、手は高い位置にありますが、外側に広がっているのが分かります。ケイティ・レデッキーのクロールは、左手を外側に広げてリカバリーした後、右腕のストロークを非常に素早く始めているのです。

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このように、エリートと呼ばれている水泳選手であっても、リカバリーの手が体の近くにないこともあります。

人それぞれに個性があるように、さまざまな泳ぎ方が存在するため、誰もが必ずしも決まった泳ぎ方をしなければならないわけではありません。それを理解したうえで、ぜひ、自分に合った泳ぎ方を探ってみてください。

「落ち着いた、かつ、素早いリカバリー」をふまえて、リカバリーで、水面から最も高い位置に肘を位置させることができると、長さのある力強いキャッチ(入水)ができたり、レースに応じてストロークのテンポを上げる必要があるときにも対応できるようになります。