コウモリは、エコーロケーションという方法で、視覚が悪い暗闇でも「音」で見ることができます。
音を使って、エサのある方角や距離などを測ることができるのです。
以下に、コウモリが生きる抜くために進化させた能力「エコーロケーション」について紹介します。
私たちは、暗闇を懐中電灯に頼らずに歩けといわれたら、恐怖を感じてしまいます。
しかし、一年中暗いのが当たり前の洞窟には、たくさんの生き物がくらしています。
これらの暗闇でくらす生き物は、エコーロケーションと呼ばれる特別な方法で洞窟の中を安全に移動しているのです。
コウモリのエコーロケーションとは
私たちは、周りの状況や場所を目で確認するため、暗いところでは、壁や椅子があっても見えず、つまずく可能性が十分にあります。
そのため、目が慣れないうちは、暗闇の中で移動するのはちょっと怖いかもしれません。
しかし、コウモリはエコーロケーションと呼ばれる能力を使って、真っ暗な洞窟でも壁や障害物にぶつかることなく高速で移動したり、エサを見つけたりしています。
コウモリが出した音が、空気中を伝わり、物に当たってコウモリの大きな耳に跳ね返ってくると、その物体の方向やどのくらい遠くにあるのか、時にはそれが何かでさえも知ることができるのです。
コウモリの耳はとても大きいので、たくさんの音をキャッチすることができ、エコーロケーションで得た周囲の状況を頼りに家に帰ることもできます。
実は、この素晴らしい能力をもつのは、コウモリだけではありません。
エコーロケーションの能力をもつ動物
エコーロケーションは、暗いところで道を探すのにとても役立つので、洞窟に住むアマツバメやアブラツグミなどエコロケーションが使える動物はたくさんいます。
真っ暗な海にもイルカやマッコウクジラのようにエコーロケーションを使える動物はいます。
なかでもイルカは、いろんな音を出すのが得意で、コミュニケーションやエサを探すなど目的に合わせて音を使い分けているといわれています。
イルカには音をキャッチするための大きな耳はありませんが、頭を使って音を出し、跳ね返ってきた音から周りの魚の位置や大きさなどを知ることができます。
科学者たちは、トガリネズミのように、地下に潜って長い時間を過ごす動物もエコーロケーションを使っている可能性があるといいます。
トガリネズミが暗い土のトンネルをどうやって移動するのかを調べた研究では、新しい場所や慣れない場所では、たくさんの特殊なクリック音を出していることが分かりました。
ただし、トガリネズミに関しては不確かなことが多く、まだこれからもたくさんの研究が必要だといわれています。
エコーロケーションは生き抜くために必要な能力だった
コウモリのように多くの動物が、視覚の利かない暗闇に生活の場を移動させ、環境に適応して多様な進化を遂げてきました。
私たち人間にとっては、暗闇は不便に感じるかもしれません。
しかし、動物、特に小型動物にとっては、外敵から身を隠せる暗闇は活動のしやすい場となり、そこでエサを食べ、移動するために独自の進化を遂げてきたのです。