扇風機は冷たい空気を送り込むものではありません。
では、扇風機自体に体を冷やしてくれる効果がないのであれば、なぜ私たちは涼しく感じるのでしょうか?
以下に扇風機がどのようにして、私たちの体温を冷ましてくれるのかを見ていきましょう。
体温を下げる方法
私たちの体は、主に2つの方法で熱を放散しています。
人体の熱の伝わり方
私たちの体は、筋肉の活動によって絶えず熱が生まれています。
もし、体温よりも、周りの空気の方が温度が低い場合、熱伝導によって空気が身体から熱エネルギーを受け取ります。
実際のところ、この熱伝導による放熱はわずかであるため、対流と蒸散の働きが重要となります。
対流による放熱
まず、身体から空気に伝わった熱エネルギーは、身体の周りを動いている空気によって移動し、その移動した分だけ空気の温度は下がります。
温められた空気は、冷たい空気より軽くなるため、身体の周りの空気で対流が発生し、体温は空気中に熱を渡し続けます。
暑い日に扇風機がない場合、この対流による熱と蒸発した水分が体の周りにとどまり、高温多湿の空気の停滞層をつくります。
すると、この「対流」と「蒸散」プロセスの繰り返しがうまくいかなくなるのです。
扇風機にあたると涼しい理由
一方で、扇風機の風を身体にあてると、この滞留していた高温多湿の空気の層が吹き飛ばされ、乾燥した空気と入れ替わります。
こうして空気が流れ続けることで、対流と蒸発のプロセスをうまく継続させることができるため、体はより多くの熱を失い、より速くクールダウンすることができます。
つまり、扇風機によって、強制的に空気の流れを生じさせ、「対流」と「蒸散」による熱放散を促して身体の熱をさましているのです。
さらに蒸散効果を高めたいなら、身体の表面を水で濡らしながら扇風機の風に当たると効果的です。