昔、カエルは妊娠検査薬の代わりだった

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みなさんは、昔の女性が妊娠しているかどうかをカエルを使って調べていたことをご存知でしょうか?

カエルは、1930年から1960年までの最も一般的な妊娠検査薬法だったのです。

検査のやり方は簡単なもので、女性の尿をアフリカツメガエルと呼ばれる種に注射器で注入するだけ。

もし、その女性が妊娠していたら、カエルは12時間もまたないうちに産卵します。

これは、ツメガエルが妊娠中の女性の尿に含まれるホルモンに反応して産卵をはじめる特性を応用したもので、高い確率で正確に判定できていたようです。

しかし、後に現代の妊娠検査薬が開発されると状況は一変します。

本来アフリカにしかいないはずの何百万匹ものツメガエルが世界各地で野生に放たれたことで、大惨事が引き起こされていきます。

以下に、アフリカツメガエルに起こって恐ろしい出来事について紹介します。

妊娠検査に使われていたカエル

これは、1952年に2人の医療従事者によって撮影された写真です。

カエルの皮膚の下の脂肪に、注射器を刺して尿が注入されています。

この後、数時間から12時間以内にカエルが卵を産み始めると、その尿の持ち主である女性は妊娠していることを示します。

もし、カエルが卵を産まない場合は、妊娠していないということです。

これは、妊娠中の女性の尿には、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)と呼ばれる妊娠の維持に重要な働きをするホルモンが含まれるため、そのホルモンに反応してカエルが産卵することを応用したものです。

実際に、この妊娠検査方法は、高い確率で的中していたといわれています。

これを機に、アフリカでした生育していなかったアフリカツメガエルは、世界中の研究所に出荷され、販売されました。

カエルが野生に放たれる

しかし、1970年代になると、家庭用の妊娠検査薬が発明されて、アフリカツメガエルはその役割を終えます。

すると、それまで研究所で飼育されていたカエルの多くが、必要なくなったために野生に放たれます。

アフリカにしか生育していなかったはずの種が、元々生息していない地域に何百万匹と放たれたのです。

そして、これが、世界で両生類が絶滅の危機に陥る原因となる大惨事につながります。

なぜなら研究所が放ったのは、カエルだけではなかったからです。

両生類を絶滅の危機に陥らせた理由

アフリカツメガエルの尿面を綿棒で拭いて顕微鏡で見ると、皮膚の表面に他のものが寄生しているのが分かります。

これは、カエルツボカビと呼ばれる真菌で、アメリカツメガエル自体はこの菌に耐性がありますが、他の両生類には耐性がないために感染が広まってしまったのです。

すると、他の両生類は、まもなくして体液が濃くなり、栄養分の吸収や毒素の排出できず、呼吸も困難となり、最終的には心配が停止してしまいます。

何百万匹のアフリカツメガエルとともに、何百万匹の致命的な真菌のコロニーが放出された結果、すべての大陸のカエルが絶滅の危機に追いやられました。

90種が完全に絶滅し、世界中の30%のカエルが菌に感染したといわれています。

ただ、これらのカエルは、妊娠している人を見分けるのがとても上手だったからです。

妊娠検査に使われていたカエルについては、以下の動画で見ることができます。

Everything You Didn't Know About Frog Pregnancy Tests