これは一般に固形石鹸として用いられているものの分子で、化学名ではステアリン酸ナトリウムといわれています。
これは油になじむ(親油性)の尾部と水になじむ(親水性)の頭部の2つの部分で構成されています。
親油性の尾部は脂肪、油、脂質、非極性分子と作用しあい、親水性の頭部は水やその他の極性物質と作用しあいます。
この構造は石鹸の洗浄力と殺菌力の鍵となります。
なぜなら、石鹸を使わずに手を洗うと、水に溶ける汚れしか落とせません。
水だけでは油性物質に働きかけることができないため、油性物質を取り除くことができないのです。
しかし、石鹸で手を洗うと、親油性の尾部が油性の汚れにひっついて、ミセル(micelle)と呼ばれる球状構造が形成されます。
手を水で洗い流すと、水分子が親水性の頭部となじみ、その結果、ミセルは水分子によって運び去られ、汚れが手から落ちます。
細菌は、脂質細胞膜を持っているため、石鹸で手を洗うことで、この親油性の尾部が膜に付着し、水流の力で細菌の膜が破れて洗い流されます。
人類は古代から石鹸を使ってきました。
石鹸は簡単に作れて、汚れや細菌に効果的だと分かってきたからです。
今日では固形石鹸ではなく液体石鹸が主に使われています。両者とも効果は同じですが、小さな違いがあります。
固形石鹸は水酸化ナトリウム、または、苛性ソーダで作られ、液体石鹸は水酸化カリウム、または、苛性カリで作られています。
いずれにせよ、固形石鹸と液体石鹸はどちらとも汚れや菌の予防に役立ちますので、適切に取り入れてください。