実は、方位磁針(コンパス)が指す北と、太陽に基づいて見つけた北は、正確に同じではありません。
少なくとも過去360年の間に、正確に同じになったのは、2019年9月のみ。王立グリニッジ天文台のコンパスが歴史上初めて真北を指したときです。
ではなぜ、コンパスは常に「真北」を指すわけではないのでしょうか?
以下に、地図上の北とコンパスの北は何が違うのかについて見ていきましょう。
真北とは
ご存知のように、太陽は常に東から出て西に沈むので、これは基本的な方向、つまり東西南北を見つける手助けになります。
この太陽を基準にして見つけた北は地理的な北極方向、または、「真北(しんぼく)」と呼ばれます。
一般的に北と知られるのは、この地理的な真北、つまり、北極点や地球の自転軸(地軸)の端(北緯90度の点)の方向にある固定点です。
この点は北半球の中心を示し、凍った北極海の真ん中にあります。
磁北とは
対して、コンパスによって示される北は「磁北(じほく)」として知られており、これら2つの北は全く異なります。
一方、磁北は、北磁極とも呼ばれ、実際に方位磁針が指す地球表面上の点の方向です。
外洋では、方角を知るのに役立つ目印がないため、北半球での航海者は、何千年もの間、北極星を参考にして進む方向を見つけていました。
16世紀頃には、コンパスと海洋の地図は船で使用されるようになります。コンパスの起源については明確にはされていませんが、すでにヨーロッパでは12世紀頃、中国ではもっと前からコンパスは使われていたと考えられています。
そして、当時でもすでに航海士らは、コンパスが指す北と北極星の位置がずれていることに気づいていたようです。
磁北は変化している
地球は巨大な磁石のようなもので、地球の磁場と一直線に並ぶコンパスの針は磁極を指します。
そして、これらの磁極は、固定された位置ではなく、地球の磁場とともに時間や場所によって変化します。
以下、赤い点が真北で、オレンジの点が磁北となります。
磁北は、1900年には地理的な北極の近くにありましたが、カナダの領土にずれていき、現在はロシアのシベリアに向かって東に移動していることが分かります。
地理的な北とコンパスの北の違いについては以下の動画で見ることが出来ます。