ここでは、星空で最も重要な星の一つである北極星について紹介します。
夜空の星は、北極星を中心に、地球の自転によって動いているように見えます。
この星は、ほぼ真北にあり、空で動かないように見えるため、航海では道しるべの重要な手がかりでした。
北極星は、こぐま座という星座の尾の先で明るく輝く「2等星」で、北半球では年中見ることができます。
夜空で一番明るい星だと誤解されることがありますが、実際は、空で49番目に明るい星に過ぎません。
冬空に見えるおおいぬ座の星「シリウス」が夜空で最も明るい星です。
さっそく以下に、北極星とはどんな星かについて、その見つけ方とともに紹介します。
こぐま座にある北極星
こぐま座は、柄杓(ひしゃく)の形をした星座で、取手の先(切止)にある北極星から節をつたって、合(水をくう部分)の端までいくと2つの星が見えます。
この2つの星は、北極星の周りを回りながら守っていることから水溜まりの守護星と呼ぶこともあります。
「北斗七星」をもとに北極星を見つける
北極星を見つけるには、おおぐま座の中(背中から尻尾の部分)にある北斗七星を見つけるのが一番簡単です。
まず、写真の右上にある北斗七星を見つけます。
北斗七星のひしゃくの先(合)の2つの星を結んで延長すると、北極星を指し示しています。
写真で、北極星とその見つけ方をもう少し練習してみましょう。
北斗七星は、おおぐま座という星座のほんの一部に過ぎないことを常に覚えておいてください。
北斗七星の2つの星から、北極星を指し示し、最後にこぐま座がどこにあるかを確認してください。
北斗七星とこぐま座の違い
北斗七星も北極星のある「こぐま座」もどちらとも柄杓の形をしていますが、どう違うのかを見ていきましょう。
まず、持ち手が、水を汲む先端(合) に向かって下がっているのが北斗七星で、カーブが上がっているのがこぐま座です。
柄のカーブの方向の違いだけでなく、明るさも違います。
北斗七星はどの星も比較的同じ明るさですが、こぐま座は7つの星のうち明るい星が3つしかありません。
北極星から緯度が分かる
そして面白いのは、北極星は北半球の緯度を決めるのに使えるということです。
写真から分かるように、北極星が地平線から何度ずれているかを測れば、北半球の緯度がわかります。
北極星は三重連星
高倍率のハッブル宇宙望遠鏡で北極星を拡大してみると、北極星には複数の星があることがわかります。
ポラリスAaは、質量は太陽の約4.5倍と推定され、はるかに大きく明るい黄色の超巨星です。水素原子の核融合反応が殻の部分で進み続け、膨張しはじめ、寿命が尽きかけている星を意味します。
この超巨星にはポラリスAbと呼ばれる小さな伴星があり、この2つの星は29年周期で互いの周りを回っています。太陽の約1、2倍ほどのこの小さな星の発見は、2006年にハッブル宇宙望遠鏡によってなされました。
この星系のもう一つの星はポラリスBと呼ばれ、望遠鏡でも簡単に見つけることができます。1780年頃の望遠鏡でウィリアム・ハーシェルが観測して発見できています。この星は黄色主系列星に分類され、質量は太陽の1.39倍です。
この3つの星からなる北極星は、地球から433光年の距離にあります。
北極星の見つけ方については以下の動画で見ることができます。