なぜハチは(女王だけで)王様はいないのか?

ミツバチにオスの王様がいない理由動物・植物・生き物

オスのハチは、女王バチと交尾すると、腹部が破裂します。

そのままオスバチは王様になることなく命を落としますが、女王バチは、自分の巣の遺伝子を集めるために、他のオスバチと交尾を繰り返すことができます。

このように、ハチのコロニーには、女王バチはいるのに王様のハチがいないなんて、なんとも不思議でなりません。

なぜオスバチは命を落とさないといけないのか?女王バチの最初の交尾相手が死ななかったらどうなのでしょう?

腹部が破裂しない鋼鉄の腹筋をもっていた場合、女王バチと並んで、彼は王様バチになれるのでしょうか?

以下に、ハチのコロニーには女王しかいない理由について見ていきましょう。

女王バチは支配者か?

女王バチはルールを作ったり、支配したりといったボスという意味での女王ではなく、すべての卵を産む(生殖能力)女王です。

支配者ではないため、群れの利益にならないような場合は、ミツバチの群れは女王を退位させることさえできます。

しかし、群れのすべてのハチの母親であり、子供たちは、母親のために身だしなみを整え、餌を与え、巣箱を維持するために働きます。

女王バチは、唯一の生殖可能なメスのハチで、いわばコロニーが自立するための心臓のようなものなのです。

最も大きく、長生きで、毎日何千もの卵を産むことができますが、オスのハチは、女王バチとの交尾のためだけに存在します。

ハチの受精

受精

シロアリのように巣に住む種の多くは、巣全体の父親となる王様がいます。シロアリにとって、オスの王アリは、ハチとは違い、女王と交尾し続けて巣全体の階級社会で頂点に立つ存在です。

しかし、鋼鉄の腹筋があったとしても、ミツバチの遺伝学は、この仮説の王にはなりえません。

たしかに始まりは、人間やシロアリが遺伝子を受け継ぐ方法とよく似ています。

メスのハチは、それぞれの卵子に自分の遺伝子の乗っている染色体の半分を入れます。

オスの精子も同数の染色体を提供し、受精卵はオスとメス双方からの染色体一式を備えて赤ちゃんになりますす。

しかし、ミツバチの場合、ここで奇妙なことが起こります。

ミツバチの卵は、オスから染色体をもらわなくても赤ちゃんになることができるのです(未授精卵)。
無精卵から生まれるオス

ミツバチの性別の決まり方

ミツバチの受精卵と未受精卵の違いは、以下の通りです。

受精卵から生まれるのがメス

(オスとメスから)2組の染色体を持つ受精卵の場合は、ミツバチの遺伝子を完全に備えているため、メスのミツバチに成長し、広い空間で栄養価の高いエサを与えられ続けるなど適切な条件下でのみ新しい女王バチになる可能性があります。

無精卵(未受精卵)から生まれるのがオス

無精卵からなるオスのハチ、受精卵からなるメス

一方で、受精していない卵は染色体が1セットしかなく、オスのハチになります。

つまり、オスのハチは母親からしか遺伝子を受け取らないことになります(半数体)。

この奇妙な遺伝的特性は、オスのハチが息子ではなく娘しか持てないことを意味します。

オスのハチは娘しか生まれない

もちろん、生物学的な性別は複雑であり、染色体が2セットあるミツバチの卵がオスになることはあり得ますが、結局は成長できず、はたらきバチに殺されてしまいます。

異変

オスを王にする仮説

オスの王を作る仮説

たとえオスを、巣で唯一の父親にすることを許したとしても、1匹のオスバチがコロニーを作ることはできません。

というのも、女王バチのように自分の遺伝子の半分ずつではなく、すべての遺伝子をそれぞれの娘に受け継がせるため、父親が致命的な突然変異もっていた場合、すべての子がそれを受け継ぐことになり、巣は壊滅的な大惨事となりかねないからです。

基本的に、オスのハチは、自分のコロニーの女王バチとは交尾しません。遺伝的多様性や近親交配による巣の弱体化につながるからです。

女王バチになると、巣の外に出てはじめの数週間だけ空中で、複数のオスと交尾をし、そのときに蓄えた精子を使って、生涯にわたって受精卵を生みます。

しかし、私はこの仮説の練習をもう少し先に進めてみたいと思います。

もし染色体が全部そろえばオスバチになり、半分そろえばメスバチになるとしたらどうでしょう?

オスの王

この思考実験のために、他のすべての条件は同じにしておきましょう。

しかし、残念ながら、これでもできません。

このシナリオでは、受精卵はオスになり、未受精卵はメスになるわけですが、これでは王になりたいハチにとって状況は改善されません。

オスの王は生まれない

ここでは、オスは依然として1つの性(オス)を父親にするだけであり、さらに問題があります。

この仮定の状況では、メスのミツバチは娘を産むことができ、そのうちのどれかが別の女王蜂になる可能性があります。

もちろん、一匹の王が生み出すのと同じような遺伝的変異の問題にはぶつかるかもしれませんが、結局のところ、オスは巣の将来とはまったく無関係なのです。

つまり、この仮説の道をどこまで進んでも、ミツバチの王を作ることはできないのです。

結果的に、どんな仮説を考えてもミツバチの巣には女王しかいません。

女王は王冠をかぶりませんが、素晴らしい母親の遺伝子を持っているのです。

そして、王のハチが巣を支配することはあり得ないので、彼は他の選択肢を探すことになります。

ミツバチに王様がいない理由については、以下の動画で見ることができます。

Why There Are No King Bees
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