月はどのように進化しているのか?

宇宙・航空科学

地球も月も太古の衝突から生まれたと考えられています。

約45億年前、太陽系が形成され始めてから約6000万年の後、おそらく火星ほどの大きさの何か、あるいは一連の物体が、まだ若き地球に衝突し、そこで溶けて蒸発した破片が宇宙に飛び散って月が形成されます。

このとてつもなくエネルギーの高い衝突によって生まれた月は、形成中に溶融し、数千万年から数億年の間マグマの海に覆われていました。

約43億年前、私たちからみて月の裏側にある「南極エイトケン盆地」と呼ばれる最大級のクレーターが、何かの衝突によって誕生。

41億年前から38億年前、小惑星や彗星などが激しく降り注いでいた時代、隕石の衝突によって月の表面の岩石は砕かれて溶かされ、盆地やされます。

約38億年前から10億年前、月では火山活動が最も顕著になっていきます。

近年、月には短期的にみると劇的な変化はありませんが、長い年月をかけてゆっくりと変化してきたのです。

そして、アポロ時代を経て現在、以下のように月に関してはたくさんのことが分かってきました。

月のコアは小さい理由

月と地球の岩石の化学組成はとてもよく似ていますが、月は、地球と比べて鉄の含有量が少ないという奇妙な謎があります。

地球の核の質量は地球全体の約30%を占め、その主な成分は鉄です。

一方で、月の核は小さく、全質量の約1.6~1.8%しかないのです。

考えられる説明のひとつは、月を形成した地球との衝突エネルギーが、軽い物質を蒸発させて宇宙空間に投げ出し、鉄のような高温でしか気化しない重い元素が地球に残されてコアに沈んだとされています。

月は地球から遠ざかっている

アポロ時代に月に設置された表面反射鏡は、初期の地球の自転速度が現在よりもはるかに速かったことを示しています。

月が形成された当初、地球にかなり近い位置にあり、とても大きく見えていました。

実際に、月から反射する光の分析によって、月は毎年1.5インチ(約3.8cm)ずつ地球から遠ざかっていることも分かっています。

月が誕生した45億年前から、月の軌道は大きくなっており、月の引力が引き起こす潮汐の影響よって地球の自転エネルギーは徐々に消耗され、日も長くなり続けています。

月の裏表の奇妙な違い

最後に、月の表側と裏側には奇妙な違いがあることも分かってきました。

例えば、地殻の厚さが、月の表側(70キロメートル)に対して裏側(150キロメートル)が倍以上もあること。

地質構造も対照的で、かつて月の表側では火山活動が活発であったのに対し、月の裏側では火山活動があまり活発ではなかったことも分かってきました。

月の形成プロセスについては、以下の動画で見ることができます。

NASA | Evolution of the Moon