地球上のほとんどの哺乳類は、4本足か2本足、あるいはイルカのように足なし(尾びれに退化)で移動します。
しかし、有袋類の中に5本足でユニークな動きをするグループがあります。
カンガルーです。
カンガルーは「五肢移動」することで有名な動物。
ただし、カンガルーに後ろ向きに動けとは言わないでください。
カンガルーはその特異な推進方法ゆえに、ジャンプであれ食事中であれ、後ろ向きに動くことはできないのです。
以下にカンガルーがなぜ5本肢で移動するようになったのか、その理由をはじめ、手足の役割や移動方法について紹介します。
五肢移動について
実際には、カンガルーは5本肢ではありません。
後ろに力強い2本の脚、前に2本の小さな前肢、そして、とても重要である大きくて筋肉質なしっぽがあります。
カンガルーはジャンプする動物としてよく知られていますが、実は素早く移動するよりもゆっくり「五肢移動」する方に長い時間を使います。
五肢移動とは、カンガルーがゆっくりと移動する方法で、
しっぽと前足をしっかりと地面につけ、
発達した後肢を持ち上げて前に振り出し、尾と前肢の位置を変えて再び前に進みます。
カンガルーは尾を使って松葉杖のようにバランスをとっているだけではないかと思うかもしれません。
しかし、しっぽで何かにぶら下がっているからといって、サルの肢が5本だとは言わのと同じで、結局のところ、カンガルーのしっぽは前肢と後肢を合わせたのと同じくらいの推進力を生み出しているのです。
カンガルーのしっぽの役割
同じスピードで動く人間の肢と同じだけの仕事をすることが分かっています。
これは、カンガルーのしっぽが脚の働きをするということを意味しますが、それなら他の放牧動物は4本の脚でなんとかなるのに、なぜカンガルーは1本余分に脚を必要とするのでしょうか?
研究者たちは、跳躍に最適化するために、カンガルーは大きくて力強い後ろ肢と、小さくて軽い前肢を必要としたのだと推論しています。
手足の長さがこれほど違うと、他の四足歩行のように前肢と後ろ肢を1本ずつ使って前進することが難しくなりますね。
その結果、手足を2本1組で動かす方が理にかなっているのですが、長さが違うためにカンガルーのバランスが崩れてしまう。
このアンバランスが、草を食もうとしたときにひっくり返るリスクを高くしてしまうため、その問題を解消してバランスをとるのに大きな尾が必要となったといわれているのです。
しっぽが大きく筋肉質になるにつれて、運動におけるしっぽの役割が大きくなり、前肢をさらに縮めることができるようになり、跳躍の効率が向上したというわけ。
その結果、現在のカンガルーは、草を食むときに5本の手足を頼りに前進する独特の歩様を持つようになったのです。
参照元:Pentapedal Locomotion: FreeSchool Presents a Closer Look at the Peculiar Motion of Kangaroos