みなさんは国境のない世界を想像できますか?
まず、国境がなくなれば、国はなくなります。
世界全体がひとつになるのです。
少しイメージしにくいかもしれませんが、身近なところでは、世界中いつでもどこへでも好きな所に行けるチャンスを得られます。
経済学の研究では、2国間の力が合わさった場合、そのほどんどがアイデアや資本、経済的なアクセスが向上して恩恵を受けやすいといわれています。
人、モノ、アイデアの自由な流れを制限していた国境が消えると、あなたはどのような世界になると思いますか?
国境のコストや利益を中心に、以下に見ていきましょう。
ビザも税関も不要になる
パスポートもキュリティーチェックもなくなり、ある場所から別の場所への移動はとても簡単になります。
観光産業は大いに活性化するでしょう。
今国境を守るために費やされている莫大な費用は、国境がなくなれば、その分を教育や医療、スポーツの発展といったもっと有益な目的に使うことができます。
貿易の自由化が経済成長を活性化
国境がなくなれば、貿易が活性化します。
これまで、多くの資本と顧客を占有していた大国は、一部の恩恵が損なわれることになるかもしれません。
しかし、貿易自由化によってアイデア、顧客、資本へのアクセスが増えるため、より多くの雇用が生み出され、民営化など他の改革も合わさって世界経済は大きな利益が期待できます。
社会的不平等の減少
もし国境がなくなれば、世界における社会的不平等だけでなく、巨大な経済的不平等も減少するかもしれません。
貧しい国が豊かな国と合併するということは、豊かな国にとっての所得水準やインフラの悪化など経済におけるマイナス要因はありますが、貧しい国にとっては成長のファンダメンタルズは改善されるでしょう。
政治的不安定
しかし一方で、国境がなくなれば、反社会的勢力がそれを利用して勢いづく可能性もあります。
発展途上国や辺境地の人は、航空券が買えなくても、海路や陸路を使えば先進国や大都会に行けるようになり、先進国は、移民の波に襲われるかもしれません。
前例のない民族紛争や国境を越えた犯罪、混乱や暴動、紛争に世界政府が対処できなくなると、再び国境線が引かれるという結末にもなり得ます。
そうなると、新たな国の数は急増するでしょう。
実際に、世界の国の数は、ソビエト連邦が崩壊した後に誕生した国やその他の独立した小国を考えると、1945年から2022年(197ヵ国)までにほぼ3倍になっています。