大きくて、くちばしから足の先まで真っ黒な鳥「ワタリガラス」を見たことはありますか?
実はこの鳥、カラスと縄張りが重なることが多く、空を飛ぶ姿も似ているうえ、同じスズメ目カラス科でなにかと共通点が多いのですが、全く違う鳥です。
ではどこが違うのでしょうか?
以下に、一見同じように見えるカラスとワタリガラスを見分ける方法を紹介します。
ワタリガラスとカラスは全く違う鳥
「ワタリガラス」はよく、ありふれた黒い鳥「カラス」と間違えられます。
でも、同じではないんです。
よく見てみると、以下のような違いがいくつかあります。
ワタリガラスはカラスより大きい
ワタリガラスは、体もくちばしも、翼もカラスより大きいのです。
カラスの体重は小型犬と同じくらいの600g前後ですが、ワタリガラスの重さはその約2倍。
カラスのくちばしは、細くてまっすぐですが、ワタリガラスは、 鉤 (かぎ) のように曲がった大きなくちばしをしています。
片方の翼の先端からもう片方の翼の先端までの翼長は、カラスが約80cm以下であるのに対して、ワタリガラスは1mを超えます。
ワタリガラスは、この大きな翼で上昇気流に乗って上昇しますが、カラスはより多く羽ばたく点で飛び方も違います。
羽毛や尾羽からも見分けられる
多くのワタリガラスは首の周りの羽が大きく、ちょっと飛び出しています。
まるで黒いネックウォーマーをしているような感じです。
でも、カラスはこの大きな羽がないので、首がすっきりしているように見えます。
もし、運良く黒い鳥が飛んでいるのを見かけたら、尾羽をよく見てみてください。
ワタリガラスの尾羽は、三角形の一部を切り取ったような、真ん中がとがったシルエットをしています。
一方で、カラスの尾羽はもっと丸く、扇形をしています。
また、ワタリガラスは2匹のつがいで行動するのが多いのに対して、カラスは、単独であったり、ペアや子供とであったり、群れで行動したりと複雑な社会性をもっていることでも知られています。
そして、もうひとつの見分け方は、耳をすますと分かります。
鳴き声が違う
カラスは、「カァーカァー」と高い声で鳴きますが、ワタリガラスは「クークークー」ともっと低い声で鳴きます。
というわけで、姿は見えなくても、見分けはつくのです。
カラスは何でも食べる
カラスもワタリガラスも決して偏食家ではありません。
人間と同じ雑食性で、植物も動物もなんでも食べます。
普段は果物や木の実、昆虫やトカゲなどの小動物を食べています。
しかし、彼らの大好物の中には、あなたのお皿には絶対にのせたくないであろうものもあります。
生ゴミ、動物の死骸、動物のフンでさえ、お腹を空かせたカラスにとってはごちそうなのです。
気持ち悪いと思うかもしれませんが、カラスはこれらのものを食べることで、環境をきれいにするという、とても大切な仕事をしているのです。
ただ、どちらかというとワタリガラスは、肉をより多く食べる傾向があります。これは、人里離れた遠隔地に好んですむため、街中よりも獲物が多いからかもしれません。
そして、私が知らなかったことがもう一つあります。
カラスはとても賢い
イルカやチンパンジーのように、カラスも「賢い動物」リストに加えることができます。
例えば、クレヨンの場所を教えたいとき、私たちは、指を使ってクレヨンを指し示すことができますね。
実は、カラスも指をさすことができるのです。
指はないけれど、くちばしの向きで何かをさして、仲間に場所を知らせたり、見せたりできるといわれています。
さらに、道具も使えるのです。
私たちが家の中のものを直すのに使うような道具ではなく、なんらかの仕事をするのに必要なものを見つけてきます。
例えば、枯れ木の奥に昆虫が隠れているとします。
すると、カラスは長くて曲がった棒を探してきて、それで穴をつつき、エサとなる昆虫を取り出すことができるんです。
いろいろな音のマネが得意
インコが、聞いた音をマネて言葉を発するのを聞いたことがありますか?
実は、カラスも音をマネることができるのです。
インコのように短いフレーズを言えるようになるし、トイレの水を流す音や車のエンジンをかける音までマネることができます。
実際に、野生のカラスは、オオカミの遠吠えやキツネの吠え方をマネて、自分に危害を加えようとする他の動物を追い払うことでも知られています。
これはなかなか賢いですね。
さて、今回紹介したカラスとワタリガラスについての4つの特徴、あなたも知っていましたか?
世界には、まだまだ賢い動物がたくさんいます。
20年も前のことを覚えているゾウをはじめ、手品にだまされないカケス、道具を使い、数を数える魚たちなど、動物たちは、私たちの想像をはるかに超えた知能をもっているようです。