海ではどのように自分の位置を知るのか?

トラノメーターの発見宇宙・航空科学

何世紀もの間、旅人は星を旅の道しるべにしてきました。

では、空を見上げるだけで、どうして自分のいる場所がわかるのでしょう?

まず、北極星を見つけることで、夜空で正確な北の方角が分かり、その高度から「緯度」を知ることができます。

これは、古代から知られてきた方法です。

一方で、航海士にとって、今自分がどこにいるのかを意味する「経度」を知るには、時間を知る必要がありました。経度は、出発地点の時刻からその場所まで何時間何分進んでいるかを比べて求められるからです。

実は、この経度を求める方法は難しく、分かったのは300年前に、船の上で時を正確に刻む時計が作られるようになってからでした。

以下に、海で人々がどのようにして自分の位置が分かるようになったのかについて見ていきましょう。

北極星から分かること

空は常に動いています。

そして、私たちは毎日、巨大なジェットコースターのように時速1500kmで地球の周りを回っています。

地球の地軸は、常に北極星を指しています。

北極星から分かること

そのため、空は北極星を中心に回転しています。

北極にいるとき、北極星は真上にあり、

北極から見た北極星

緯度が南下するにつれて北極星は地平線に近づいていき、

北極星との高度

赤道ではちょうど地平線上に位置します。

赤道から見た北極星

自分の緯度を知るには、六分儀を持って地平線と北極星の間の角度を測ればいいわけです。

経度と時間の関係

経度を知る

経度は、時間の経過とともに空が変化するため、計算がはるかに難しくなります。

経度を知る②

経度と時間は密接な関係にあり、経度によってタイムゾーンが決まり、経度が15度違うと1時間の時差が生じます。

経度は時間で決まる

例えば、あなたがニューヨークに住んでいて、真夜中に空を観察したとしましょう。

2時間半後、地球は自転し、ニューヨークがあった場所にソルトレイクがあるとします。

つまり、真夜中のニューヨークの空は、2時間半後のソルトレイクの空とほとんど同じなのです。

つまり、経度を知るには、今が何時なのかを知る必要があります。

これは現代では簡単なことですが、古代世界でははるかに難しいことでした。

経度の計測をもとにつくられた世界地図

天文学者がこの問題を解明したのは17世紀になってからです。

1608年、オランダの眼鏡職人たちによって望遠鏡が発明されました。

わずか2年後、ガリレオはこの新しい装置を使って、木星の周りを回る4つの衛星を発見しました。

ガリレオの発見

そして、この衛星たちは時計仕掛けのように一定の間隔で公転していたのです。

実際、衛星は時間を計測する優れた方法を提供し、天文学者たちはそれを経度の計測に利用しました。

そして、この新しい知識によって、天文学者たちは世界地図を作り直したのです。

これはメルカトルによって作成された地図です。

メルカトル図法

現代の地図に置き換えてみると、経度を計算するのに苦労したため、南北ではなく東西に変化していることに気づくでしょう。

現代の地図

ヨーロッパがどれほど小さくなっているかにも注目してみてください。天文学者たちは皆、自分たちがよく知る前はヨーロッパの大きさを誇張する傾向があったようです。

実際に、ルイ14世は、天文学者が指摘する王国の領土が、5分の1程度になったので、領土を失ったと不満を漏らしたそうです。

1676年、デンマークの天文学者オーレ・レーマーは、木星の衛星が予定より数分遅れて見えることを発見しました。

木星の衛星の光が届く速度

木星が地球から遠く離れているとき、木星から放たれる光が地球に届くまで光の速さで約40分かかるとすれば、この遅れを説明できることに気づいたのです。

これが、光には有限の速度があることを示す最初の証拠となりました。

海で時間を計る方法

陸上で時間を計る方法はいくつかありましたが、海上ではうまく機能しませんでした。

振り子時計はありましたが、船上では金属部品が寒さで収縮し、暑さでは膨張し、波の動きでも狂ってしまうからです。

経度の問題は、何世紀にもわたって航海士たちを悩ませてきました。そこでイギリス政府は、解決策を思いついた人に賞金を出すことにしました。

その賞金を手にしたのは、イギリスの大工ジョン・ハリソンでした。

経度の測定が可能な機械式時計の発明

彼は30年以上かけて航海で経度の測定が可能な機械式時計(クロノメーター)を作り上げたのです。

そして、彼のクロノメーターは、その後の航海でも経度を知るためになくてはならないものとなりました。

1980年代、米軍は、航空機や船舶の位置情報を知るためにGPS人工衛星を打ち上げました。

1980年GPS

各衛星には正確な原子時計が搭載されており、それを使って常に時刻情報を電波にのせて送っています。

その信号が地上に届くのに10分の1秒かかったとましょう。

GPSから正確な時間を知る

その時間に光速をかけると、衛星は30,577km離れていることになります。

GPS活用法

ということは、私たちは今、衛星から30,577k離れた球体の上にいるということになり、これを複数の衛星で繰り返せば、球体を交差させて正確な位置を特定することができるというわけです。

これがGPSの仕組みです。

空からどのようにして自分の位置を知るようになったのかについては以下の動画で見ることができます。

Using Stars to Navigate
error:Content is protected !!