チンパンジーといえば、認知能力がきわめて高いことは有名ですが、共食いをするという意外な一面についてはあまり知られていません。
今回は、縄張り意識が高いチンパンジーだからこそ起こる共食いの様子を紹介したBBCプラネットアースの動画をもとに、チンパンジーの生態に迫って紹介します。
チンパンジーが共食いをしたり、子供を食べる理由に関しては、まだはっきりとは判明していませんが、外敵を少しでも減らしてエサを確保し、自分の仲間が生き残るためであるといわれています。
なかには、単に、タンパク源のために捕食していると指摘する専門家もいるようです。
あまりに強烈な印象から、チンパンジーのイメージが180度変わってしまうような光景ですが、これが野生動物の現実なのです。
チンパンジーの共食いは本当にある
一列になって縄張りをパトロールしていたチンパンジーのオスたちは、馴染みのない声を耳にした途端、不気味なほど静まり返って、あたりを注意深く確認し始めます。
そして、それほど遠くない距離の木の上で、別の少数のチンパンジーのグループが、木の実を食べている姿を発見。
そこから、チンパンジーの恐ろしく凶暴な攻撃が始まります。
同種族間の狩りと共食い
チンパンジーたちは、息をひそめて、縄張りへの侵入者に近づいた後、一斉に奇声を上げて襲い掛かります。
あるものは周辺の枝をゆさぶり、木を蹴り倒して大きな音を出し、あるものは興奮したように叫び声を上げながら木から木へ飛び移っています。
それは、まるで仲間同士でお互いに士気を高め合いながら、相手を恐怖におとしめているようにも見えます。
木の実を食べていたチンパンジーたちは、突然の襲撃に、慌てて逃げ惑います。
そのうちのメスが一匹、数匹のオスに襲われましたが、なんとか運よく逃げることができました。
しかし、若いチンパンジーは、無残にもその場で殴り殺されてしまいます。
そして、殺されたチンパンジーの肉や内臓は、同じ集団内のチンパンジーに配分され、全て食べられてしまいます。
縄張り意識の高いチンパンジー
最近の研究によって、外部から縄張りに侵入したチンパンジーを、オスが連携して攻撃するだけでなく、近隣のチンパンジーを襲って縄張りを拡大しながら、同種族間で殺し合い、捕獲した敵を食べる(共食い)ことも分かってきました。
実際に、縄張り争いによって、広大な土地とエサを確保している集団も存在しています。
また、共食いは、オスだけでなく、メスも行うことが複数報告されています。