蚊が血液を吸う時に使う針は1本に見えますが、実は6本もあります。
この針を蚊は、いつも刀剣のさやのようなもので保護し、刺す時のみ出し入れして使用しているのです。
以下に、蚊の針の仕組みや血の吸い方について詳しく紹介していきましょう。
蚊の吸血行為について
私たち人間を刺しているのは、メスの蚊だけであると知っていますか?
オスの蚊や産卵期以外のメスは、花の蜜や果汁、植物の汁や樹液をえさにしています。そして、血液は、産卵期をむかえたメスの蚊にとって、卵を作るための重要なたんぱく源になっているのです。
蚊が血を吸う行為は、一見すると、ただ針を皮膚に刺しているだけのようにみえますが、使われている針のような器官(吻/ふん)はとても複雑で、驚くほど洗練された仕組みを持っています。
針の仕組みと血の吸い方
まず、普段は針を覆って保護している刀剣のさやのような部分「下唇(かしん)」を手前に引くように折り曲げて後退させて、針を出します。
そのうち、「小顎(こあご)」と呼ばれる2つの針には、小さなのこぎり状の歯があり、刺す時に皮膚を切り裂く役割があります。
血を吸っているのは、6本の針のうちたった1本「上唇(じょうしん)」のみです。上唇の先は非常に細くて鋭く、2本ののこぎりの歯をもつ針と一緒に細かく動かしながら刺すので、私たちはほとんど痛みを感じることがありません。
そして、残りの2本の大顎(おおあご)で血液がもれないように支え、同時に、咽頭(いんとう)と呼ばれる針から血液が固まらないようにし、また、麻酔の役割もある唾液が注入されます。
この唾液が、かゆみを引き起こす要因となっています。
皮膚の下では何が起こっているのか?
こちらの動画の1分42秒では、刺した針(上唇)が皮膚の下で血管を探している様子が分かります。
針は、血液からにじみでた化学物質に導かれるように血管を見つけて、ストローのように使って吸い始めます。
血を吸った後はどうなるのか?
蚊は、おなかがいっぱいになると、吸い込んだ血液から水分のみを分離させて、皮膚の上に捨てることで、栄養価の高い赤血球で満たすためのスペースをさらに作りだします。このようにして、できるだけたくさんの血液を吸っています。
吸い終わったら、下唇をもとのように戻して針を覆います。
そして、再び飛び立っていくのです。
参照元:How Mosquitoes Use Six Needles to Suck Your Blood | Deep Look