日本人は、寝る前にお風呂に入るという習慣がありますが、海外では、毎日入る習慣はありません。髪を洗うのは2、3日に1回というのもざらで、そんな海外の人からみると、日本人は類をみない清潔好きに感じるようです。
あなたは、毎日お風呂に入り、シャワーを浴びなければ、体がきれいにならないと思いますか?
なかには、汗なんてかかないし、毎日入るとかえって体によくないと考えている人も多いようです。
そこで、ここでは、体をきれいに保つためには、お風呂に毎日入るべきかどうかについて、最適だといわれる頻度と合わせて紹介します。
科学者たちは、まずは肌について知り、皮膚で生きている可能性のある微生物に基づいて考えていくべきだといいます。
お風呂と健康の関係
お風呂にどれくらいの頻度で入るべきかについては、明確なルールはありませんが、一部の科学者たちは、皮膚の生物学に基づいて下記のように示しています。
皮膚は、体内に有害な物質が入るのをブロックするために、体全体を包み込んでいる巨大な臓器です。
表皮の上には、バクテリアや菌類、ウィルス、ときには小さな節足動物も仲間入りして形成されたコミュニティーで覆われています。
この皮膚に棲みついているにぎやかな微生物のコミュニティーは、「マイクロバイオーム」と呼ばれています。
大部分の研究者は、「マイクロバイオーム自体はほとんど無害である」と考えていますが、あなたが外の世界に一歩踏み出したとき、病気をもたらす他の微生物と接触する可能性は十分にあります。
そして、そういった菌に触れた手で目をこすったり、食べ物を口に入れたりするときに、これらの病原菌が皮膚を通り過ぎて、体内にまで侵入してしまうのです。
そのために、専門家はこぞって手洗いの重要性を示し、特に医療や食品の分野にたずさわる人には「手を石鹸で洗いなさい」と警告しています。
なぜ石鹸で洗うのか?
石鹸には、「界面活性剤」という水や汚れ、油、バクテリアなどと結合する分子が含まれています。
つまり、手を石鹸で泡立てた後、水で洗い流すことで、汚れがきれいに取り除かれるということです。
しかし、残された体の部分は少し異なります。
人の体の皮膚には、汗や脂を生成する腺があり、それが体の熱を冷まし、皮膚を保湿して潤い、体を健康的に保っています。
大切なのは、皮膚に住むマイクロバイオームや皮脂のバランスを乱さないことです。
お風呂に入る理由
皮膚に潜むいくつかの微生物は、汗の分子を分解してチオアルコールのような臭いのある物質を放出します。
また、肌の衛生状態が悪いと、死んだ皮膚細胞や皮脂が毛穴を詰まらせてトラブルをもたらす可能性もあります。
そのため、石鹸を使ってシャワーを浴びることは、汗や皮脂を取り除いて、肌の衛生状態を管理し、見た目をよくするのに役立つといえます。
また、手術の前夜には、医師に、微生物を殺すための特別な化学物質を含む抗菌石鹸を使ってシャワーを浴びるように指示されることもあります。
これは、外科医がメスを入れるときに、皮膚に潜む危険な微生物による影響を排除しておくためです。
頻繁にお風呂に入りすぎてはいけない理由
その一方で、あまりにも頻繁にお風呂に入るのも、よくない可能性があります。
なぜなら、皮膚に自然に生育する微生物(常在菌)のバランスを乱してしまうからです。
また、石鹸と水が、皮脂を洗い流すので、肌が乾燥しすぎて、表面の層に亀裂が生じ、病気の原因となる微生物が体内に侵入しやすくなります。
お風呂に入る頻度として最適なのは?
以上のことから、皮膚科医は、運動して汗をかくのでなければ、毎日お風呂に入ってごしごしと体を洗うと、皮膚の脂や常在菌が過剰に取りのぞかれてしまう可能性があるのでよくないといいます。
汗の量や活動範囲の環境、水質や気候などにもよりますが、肌の「マイクロバイオーム」を健康的に保つためには、2日から3日に1回のペースで十分なのです。