ペットや子供に注意!毒のある身近な観葉植物9種

2020年3月12日


観葉植物は、インテリアのアクセサリーとして人気が高く、植物がもつリラックス効果や空気清浄効果などを期待して室内で育てる人も多くいます。

なかには新居に移ったことを機に、「ペットは飼えないけれど、観葉植物なら」と育て始めた人もいるでしょう。

しかし、屋外や屋内でよく見かける観葉植物には毒をもつ種も多くあります。なかには噛むだけで中毒症状が出るものもあり、口に物を入れて世界を探索する時期の子供や好奇心旺盛なペットなどは、毎年のように植物中毒の犠牲者になっているので注意が必要です。

実際に、米国毒物管理センター協会(AAPCC)がまとめた年次報告書によると、植物は、予期せぬ子供の中毒症を引き起こす要因トップ10にランクインしていることからも分かります。

しかし、植物に潜む危険性に気付くことができれば、防げる事故はたくさんあります。

そこで、ここでは、身近に潜む9つの有毒な植物について紹介します。観葉植物として人気が高いものや家庭でよく見られる身近な植物も多いので、特に家に子供がいる人やペットを飼っている人は参考にしてみてください。

ディフェンバキア

ディフェンバキアは、太陽や照明の光をそれほど必要としないので、家やオフィスで好んで育てられる観葉植物のひとつです。

しかし、この植物には、シュウ酸カルシウム結晶を含んだ特殊な細胞があります。それは、腎臓から膀胱への道を詰まらせることのある結石と同じ化学物質です。

そして、ディフェンバキアにおいては、いくつかの異なる形状をした結晶が見られます。星のような形をした「ドルーズ」と呼ばれる結晶、そして、針状の結晶「ラピド」です。

研究者たちは、これらのシュウ酸カルシウムの結晶が、草食の捕食者から身を守るため構造のサポート的な役割に及ぶものなど、植物の部位でそれぞれが異なる機能を持つと考えています。

たとえば、ディフェンバキアのおいしそうな葉に捕食者が噛みつくと、葉の細胞の損傷が引き金となって、ラピドが目には見えないダーツのように捕食者に襲いかかり、葉を吐き出させるのです。

植物がもつこれらの安定した結晶や他の種のタンパク質には、捕食者の口の中にある繊細な組織を強く刺激する傾向があるため、もしこれが人間に起こると、口内が炎症を起こして腫れ上がり、話すのでさえ難しくなる可能性があります。

そのため、ディフェンバキアは、口のきけない人を意味する屈辱的な古い言葉で「dumb cane(ダムケーン)」と呼ばれることもあります。

不運にも、目の中に樹液が入ってしまった場合、それらの結晶は眼球を覆う透明な保護膜の「角膜」を傷つける恐れがあります。このようにしてできた傷は、幸いにもたいていは治癒できるといわれていますが、苦痛には変わりありません。

スイセン

一般的に、スイセン属の植物は、球根から育てられます。

スイセンは、春にきれいな花を咲かせる植物ですが、アルカロイドの一種のリコリンと呼ばれる毒素を含みます。

アルカロイドは、たくさんの生物が生成する窒素含有化合物で、植物においては、主に草食動物から身を守る役割があります。

私たち人間は、カフェインやニコチンなどのアルカロイドを意図的に使用することもありますが、それらは私たちの体に想像を超えた強い影響を与える可能性があります。

リコリンも例外ではなく、嘔吐や下痢、震え、痙攣(けいれん)をはじめ、ときには麻痺さえ引き起こすといわれています。いくつかの研究でタンパク質の合成を混乱させる可能性も示されていますが、私たちの細胞で実際にリコリンがどう作用するのかまでは正確には分かっていません。

私たちは、あえてスイセンを食べるなんてしないかもしれませんが、ときには、玉ねぎと間違えて球根を食べてしまうことがあるようです。

そのひとつに、2009年にイギリスのサフォークで、児童に起きたできごとがあります。

プラントで育った野菜を使ってスープを作っていた子供たちは、誰かが誤って植えたスイセンの球根を食べてしまい、その多くが中毒症状に苦しんだのです。

幸いにも、全員が無事に体調を回復させましたが、スイセンは、学校での楽しいクッキングの時間を悲劇に変えてしまいました。

キョウチクトウ

可愛い花を咲かせるキョウチクトウは、手がかからず、水やりが面倒な人にも人気のある低木です。

しかし、草食動物から身を守るために、強心配糖体、ネリイン、オレアンドリンといった毒性の高い化学物質が含まれており、それらは、心筋細胞のナトリウムイオンとカリウムイオンの流出入を調整するポンプの働きを阻害します。

このポンプは、細胞膜を介してナトリウムイオンとカリウムイオンの流出入を行うことで、心筋に活動電位を生成して電荷を蓄え、心筋収縮の信号を助ける働きがあります。そのため、このポンプの働きが乱れることは、心拍の乱れを意味します。

具体的には、細胞内へのカリウムイオン(K+)流入と細胞外へのナトリウムイオン(Na+)の流出が妨げられた結果、心拍は低下する一方で、心筋の収縮力が増加します。

このナトリウム-カリウムポンプは、心筋意外にも、神経細胞や腸の内側の細胞などにも存在するため、これらの機能も同様に混乱させていき、痙攣や吐き気、腹痛、嘔吐などの胃腸症状を引き起こす恐れがあります。

シャクナゲ

紀元前1世紀、シャクナゲは、トルコでのローマ軍の敗北に貢献したといわれています。

シャクナゲがもつ花粉や花の蜜には、グラヤノトキシンと呼ばれる有毒成分が含まれているからです。

これは、強心配糖体のように、細胞膜を介してイオンを移動させる細胞の機能を妨害します。特に神経細胞に影響を与えるため、神経毒ともみなされています。

それらが細胞膜のナトリウムイオンチャネルに結合すると、活動電位の生成のためにナトリウムイオンの流出入を行う小さな孔(開閉式)を開けっぱなしにしてしまうため、幻覚症状から嘔吐まで、脳、心臓、胃腸管などにあらゆる種の中毒症状を引き起こします。

今では、人間がシャクナゲの花を食べる機会はありませんが、この花を訪れたミツバチが作ったハチミツを口にしてしまう可能性は考えられます。ちなみにこのハチミツは「マッドハニー」という名でも広く知られています。

ローマ軍がトルコに侵攻したとき、地元の人々はこのマッドハニーをつくる蜂の巣の塊を侵攻ルート上に並べました。

すると、ローマ人は、予想道理この甘いごちそうにためらいもなく食いついたため、中毒症状に苦しみます。結果的に、精神が錯乱した兵士や中毒症に苦しむ兵士たち相手の戦いはいとも簡単に終わったといわれています。

この闘いは私たちに「決して道端にあるミステリアスなハチミツには口をつけない」という教訓を残したのです。

スズラン

ブライダルブーケとしても人気のある花「スズラン」にも毒素があります。

スズランには、20種類以上の強心配糖体が含まれています。これらは、キョウチクトウと同じ種の毒素です。

主要なものの1つにコンバラトキシンがあります。これは、心臓に影響を与える天然物質のなかでも最も強力なものとして知られています。

他の強心配糖体のように、体内のナトリウム-カリウムポンプを乱し、心拍を破壊し始めるので、心臓の拍動はゆっくりと不規則になっていき、悪化すると心停止を引き起こす可能性があります。

スズランには、他にもサポニンと呼ばれる毒素も含まれています。

これは、それほど有毒ではありませんが、大量に摂取すると、胃の調子を悪化させます。

サポニンは石鹸によく似ています。界面活性剤と同じように、親水性(水に溶解しやすい)の分子と、疎水性(水を嫌う)の分子をもつため、細胞膜に穴を開けることができるのです。

過去には、小さな子供や認知症の女性が、スズランを誤って口に含んだときに、胃腸管の内側に異変を起こした例があります。

アジサイ

アジサイのふわふわした花のフープは無邪気に見えるかもしれませんが、青酸配糖体と呼ばれる毒素を含んでいます。

青酸配糖体と呼ばれる化学物質は、食べると体内のいくつかの酵素によってシアン化水素に変換されます。

これは、本当に有毒なものです。

シアン化物は、細胞内にある特定の鉄含有分子と結合すると、細胞の重要な燃料分子であるATPを生成する機能を停止します。

ATPがなければ、細胞はすぐに飢えて死んでしまいます。もちろんそうなると人体も危険な状態になります。

幸いにも私たちの体は、中程度量のシアン化物であれば解毒できるので、致死量にいたるにはたくさんのあじさいを食べる必要があります。あじさいは決しておいしいとはいえないので、飲みこむこと自体が難しく、実際には致死的中毒は起こりにくいと考えられています。

しかし、アジサイを少しでも食べてしまうと、消化管細胞に異変が生じ、下痢や嘔吐、胃痛を引き起こす可能性は考えられます。

そのため、あなたの子供やペットがそれらを食べる可能性があるなら、身の周りから取り除いた方がよいでしょう。

サゴヤシ

サゴヤシは、北米の温暖な地域でよく好まれる造園植物です。

実際には、熱帯ヤシの木とはまったく関係はなく、恐竜が栄えたジュラ紀に豊富にあったとされる古代の植物群「ソテツ」の一種です。

ソテツは、見た目はかっこいいかもしれませんが、サイカシンと呼ばれる危険な化学物質を隠しています。

問題はサイカシン自体ではありません。

しかし、あなたの体がそれを分解するときに生成する「メチルアゾキシメタノール(MAM)」と呼ばれる分子は、特に脳細胞と肝臓細胞の発達において、DNAを損傷する習性があります。

これはアルキル化剤のようなものです。つまり、DNAに結合し、鎖を切断したり、互いに付着させたりすることができるのです。

これにより、DNAが適切に機能、または、複製することが難しくなると、影響を受けた細胞を殺したり、癌を生じさせたりする可能性があります。

実際には、これらの問題を引き起こすのに十分なMAMを取得するには、たくさんのソテツを食べる必要があります。

しかし、ソテツの種子から作られた小麦粉を取り入れた食習慣のある南太平洋の島では、パーキンソン病やALSなどの神経疾患を発症する割合が通常よりも高くなっているため、注意を促す研究者もいます。

ヤドリギ

欧米では、冬に行われる伝統行事の一つとして、ヒイラギの枝とある有毒植物でホールを飾る習慣があります。

ポインセチアのことではありません。それらはわずかに毒性があるだけで、中毒を発症するには、約500枚の葉を食べなければならないうえ、ひどい味がするので簡単ではありません。

一方で、ヤドリギははるかに中毒症状を悪化させる可能性があります。

現在、北米原産のヤドリギ種はそれほど有害ではありません。

しかし、ヨーロッパのビスカム属のヤドリギには、ビスクミンと呼ばれる毒素があります。これは、リシンに似ています。

リシンは、ヒマシ油の原料となる植物から作られた強力な毒です。冷戦中のブルガリアで、反体制派ゲオルギー・マルコフがイギリスに亡命した際、リシンが含まれた弾丸を放つ傘で暗殺された事件は有名です。記憶に新しいところでは、バラク・オバマ大統領にリシンがついた郵便物が届いた事件もありました。

ビスクミンも、リシン同様に致命的な中毒症を引き起こします。体重1キログラムあたり2.4ミリグラムという少ない投与量で、哺乳類を殺すことができるといわれています。

リシンとビスクミンはどちらも、リボソームの機能を不活化するタンパク質(RIP)です。

リボソームは、あらゆる種の生物の細胞にあり、タンパク質を合成する重要な役割によって、身体全体の機能を調節しています。

ビスクミンが細胞に入ると、リボソームの重要な部分が破壊され、不可逆的(もとには戻れない)な損傷を引き起こして機能を破壊してしまいます。

このようにして、細胞がタンパク質を作れなくなった場合、大きな問題が引き起こされていきます。

身体のすべてが壊れ始めるからです。

どうやら、間違えてもヤドリギを噛まないほうがよさそうです。

シクラメン

鉢植えのシクラメンもホリデーシーズンに人気のある贈り物です。

繊細で色とりどりの花が咲き、温暖な気候であれば屋外でも栽培できます。

しかし、それらには、トリテルペノイドサポニンの一種である毒素が含まれています。

スズランのサポニンと同様に、この毒素は細胞膜を乱し、胃腸管を刺激し、気分を害します。

幸いにも、有毒物質のほとんどは、土壌の下の地下茎に隠れているうえ、苦みがあるので好奇心の強い子供や犬でさえ、深刻な病気になるほど食べることはないでしょう。

葉にもわずかですが、有毒物質が含まれています。実のところ、伝統的なギリシャ料理では、ご飯などの詰め物を葉でくるんだドルマと呼ばれる料理を作るためにこの種の葉が使用されていたようです。

最後に

私たちの身の周りには、思った以上に毒性の強い観葉植物が潜んでいます。

どうやら「観葉植物を食べないでください」というのは、適切なルールだといえるでしょう。

ほとんどの場合、植物が有毒な防御策を講じていても、深刻な被害を被ることは少ないかもしれませんが、万が一の場合は、医療施設に電話で確認し、必要に応じて医師の診察を受けることをおすすめします。